KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2018年5月号
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―建設工事も始まっていますね。 現在の建物は80余年の歴史があり、阪神間モダニズムと称されるレトロな雰囲気をもっています。ぜひ残してほしいというご意見もありました。しかし、建物が残っても病院が存続できないという、どうにもしがたい事情があり、順次新棟建設中です。2019年6月に1期工事が完了し、10月には六甲アイランド甲南病院から脳神経外科、歯科口腔外科、泌尿器科、循環器内科、小児科、産婦人科などの診療科がこちらに移動し、380床に増床します。その後、2期工事に入り古い建物2棟は解体して新棟を建設します。現在の新館と東館はリニューアル工事に入り、2022年4月に全てが完成し、最終的には480床、六甲アイランド甲南病院との一体運用で660床となります。―新しく生まれ変わるというのは? 甲南会は3つの病院と2つの施設を運営していますが、今回の改築に伴い、それぞれ役割分担を整理・再編し統合する必要があります。中でも、東灘の2病院が同じスタンスで診療を並列的に行うことがこの地域での理想形なのか?という大きな課題がありました。そこで、甲南病院は急性期、六甲アイランド甲南病院は回復期リハビリ中心という役割分担を決めました。もちろん六甲アイランドの住民の皆さんにも頼れる病院は必要です。しっかりと外来部分は残し、手術などが必要であれば甲南病院へ来ていただき、回復期には六甲アイランドへ戻っていただけるようなシステムを構築していきます。―新棟建設中ですが、既に取り組みは始めているのですね。 2つの病院は医師をはじめスタッフ同士の連携、さらにはアクセスも十分でないという状況でした。そこで、垣根を取り払ってコミュニケーションを促進し、交通アクセスの点でも直行バスを運営するとともに、駐車場を増やすなど対策を始めています。住吉学園さんには、土地の取得に関して最大限のご支援をいただいています。学園さんは住吉村の頃から地域に根差した活動を続けておられるという歴史的な背景を、甲南病院に就任して私は初めて知りました。 東灘区には公的医療機関がなく、古くから地域医療を甲南病院が担ってきました。次の100年に向けても地域の皆さんのご意見を聞きながら、最高の医療を届けていかなくてはいけません。そういう意味で、「地域住民のために甲南病院にはもっと発展してほしい」という思いをもって協力いただいているのは本当にありがたいことだと思っています。80年の歴史を刻む甲南病院53

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