KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2018年5月号
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一貫教育の良いところだと思います。しかし、中にはそういった学習が苦手な子もいます。そこでWi‐Fi環境を整え、タブレットを使い、自分の考えをみんなにも見てもらえるシステム作りを行っています。いろいろな方法を実践しながら、現在、研究中です。―甲南小学校を卒業後は? 今でもほぼ9割が甲南での一貫教育を望んで入学してこられます。甲南小学校出身の子どもたちが、中高に進んでもリーダーになって学校を引っ張っていってくれているのではないでしょうか。社会に出てからはいろいろな方面で活躍してくれていますが、甲南卒業生は一生の絆ができるのが特徴のひとつですね。同級生はいくつになっても毎年集まりがあるようですし、同窓会のつながりも深いですね。自分さえ良ければいいという考えではないからでしょうか、社会に出てもみんなに可愛がってもらえる存在のようです。〝人がよすぎる〟という面もちょっとあるようですが(笑)。―平生先生はたくさんの言葉を残しておられますね。 10数年前から、改めて平生先生の言葉をしっかりと教育に生かしていこうとしています。例えば、「正志しく 強く 朗らかに」。中でも「正志く」は決して卑怯なことはしないという強い意志の表れです。「常に備えよ」は、阪神大水害で校舎も全部流されてしまい、その5年後の再建時に建立された石碑に刻まれています。予期せず起きるトラブルに備え、日頃から生きていくための知恵や技術、倫理観を身に付けておくことが大切。これは卒業生から「今も会社で使わせてもらっています」という声を聞きます。心のどこかに刻まれているのでしょうね。人生で迷ったときには、平生先生の言葉とその精神を思い出して原点に戻れるのではないかと思います。―110周年に向けての抱負は? 110周年に限らず、節目を迎えるごとに平生先生の思いを共有しながら、さらに新しいことにも挑戦していかなくてはならないと思っています。「常に備えよ」平生釟三郎 書51

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