KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2018年4月号
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 香雪美術館は、阪神間の郊外住宅の草分けでもある旧村山邸の広大な敷地にある。公開はしていないが、河合幾次設計の洋館、それぞれ趣向を凝らした玄関棟、書院棟、茶室棟からなる和館などの貴重な建物が、六甲の豊かな緑と野鳥の囀さえずりの中に今なお佇んでいる。中之島に美が集う 香雪美術館開館45年の節目に、大阪・中之島フェスティバルタワー・ウエストにオープンした中之島香雪美術館は、時を超え美を放つ村山コレクションを最新のテクノロジーで実現したハイスペックな展示設備で公開する。 50m超の開口部をもつ大きな展示ケースは、超高透過ガラスに低反射加工を施してあり映り込みが少なく、息を呑むような細やかな蒔絵も、繊細な筆の運びも、じっくりはっきりと鑑賞することができる。また、個別調光可能なLED照明は展示品の美を際立たせるだけでなく、紫外線や熱を発せず貴重な美術品の劣化も防ぎ一石二鳥だ。 142坪の展示室は高い天井と、落ち着いた照明が格調の高さを醸し、ここがビジネス街のど真ん中だということを忘れさせる静謐さ。また、展示室の奥には村山と朝日新聞の足跡や村山邸を紹介する村山龍平記念室も設けられている。 オープンからは5期約1年にわたり、村山コレクションの粋を集めた展覧会「珠玉の村山コレクション」を開催予定。4月22(日)までは美濃「志野茶碗 銘 朝日影」など村山と特にゆかりの深い名品を幅広いジャンルからピックアップ。4月28日(土)~6月24日(日)は金をテーマに重要文化財の「レパント戦闘図・世界地図屏風」などが登場。7月7日(土)~9月2日(日)は秘蔵の道具が茶の湯の世界へ。10月6日(土)~12月2日(日)は仏教美術が美の真髄を説く。そして12月15日(土)~来年2月11日(月・祝)は物語や文学ゆかりの美術品が最後を飾る。この一連の開館記念展は見逃せない!重要美術品池大雅「六遠図・試錘図巻」(江戸時代、18世紀)「試錘図」部分「伊勢物語図色紙」(室町時代、15世紀)野々村仁清「色絵花唐草鱗形香合」(江戸時代、17世紀)32

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