KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2018年3月号
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心の幼児教育と愛の看護井深大まさる・井深八重 ソニーに務めていた友人は井深大まさる社長について「根っからの技術屋さんで、温かい人だった」と言っていたが、意外なことに井深氏の著作の多くは幼児教育に関するものだ。世界的な技術者にして起業家の井深氏は、教育家としても偉大だったのだ。 実は、井深氏は知的障がい児の父だった。すでに経済的に成功していた彼にとって人を雇ってわが子の世話をさせることはたやすかっただろうが、あえて社会的に自立できるように育て、障がい児のための学校に通わせ、保護会にも積極的に関わり、学校への資金面のサポートもおこなった。このような経験の中で教育の大切さを痛感したのだろうか、昭和44年(1969)に幼児開発協会を設立し、人を育てることほど崇高で素晴らしい仕事はないと、胎児から始まる幼児教育、心の教育に心血を注いだ。さらに昭和47年(1972)には財団法人ソニー教育振興財団を立ち上げた。この両者は公益財団法人ソニー教育財団として統合され、現在に至っている。 ところで、ソニーは音響に関してもトップブランドだが、マイクロホンやヘッドホンの生産はソニー・太陽というグループ会社が基幹になっている。実はこの会社、社員の約3分の2が障がいを持つ人だという。しかし、障がいを補連載 神戸秘話 ⑮瀬戸本 淳(せともと じゅん)株式会社瀬戸本淳建築研究室 代表取締役1947年、神戸生まれ。一級建築士・APECアーキテクト。神戸大学工学部建築学科卒業後、1977年に瀬戸本淳建築研究室を開設。以来、住まいを中心に、世良美術館・月光園鴻朧館など、様々な建築を手がけている。神戸市建築文化賞、兵庫県さわやか街づくり賞、神戸市文化活動功労賞、兵庫県まちづくり功労表彰、姫路市都市景観賞、西宮市都市景観賞、国土交通大臣表彰などを受賞文・瀬戸本 淳 (建築家)16
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