KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2017年12月号
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い眼光と繊細な手の感触を頼りに鑿と鉋で削っていく。「刳りもの」(丸い木材)は角材を旋盤で回して鑿で切削。手加減ひとつで、魔法のように美しいカーブが出現する。 そして接ぎ。一滴の水漏れも許されぬ船大工由来の巧の技で、計算され尽くしたほぞの角度が、釘を使わずとも二度と離れない堅固な接合を可能にしている。 しかも木工職人は椅子だけつくれば良いのではない。鉋や鑿など特殊なものゆえ、道具自体も自らの手で。「ようやく職人として一人前になれたかな?」とこの道58年の勝實さんは言うが、それだけ会得するべき事が椅子張りを行う松浦光明さんは、この道54年スプリングの上に麻を敷き、その上にウレタン材や綿わたなどを重ねていく座面下の土台作りに欠かせない土手組には、藁を使用。藁を使用することで形が馴染みやすくなるスプリングの上に強度の強いゴムを張り巡らせる神戸市中央区二宮町にある土屋椅子製作所多く、求められるレベルも高いということだろうか。 木組みの次の工程は、塗料で「墨ぼかし」という技法により、色の濃淡を美しく仕上げる塗装を行う。そして、より味わい深い色になるように表面はワックスで仕上げる。 次に行う作業が椅子張りとなる。中央区二宮にある土屋椅子製作所では、座った時に座面がきちんと体重を支えることができるように、コイルスプリングを使い、手間暇惜しまず手張り作業を行っている。座面の周囲には型くずれを防ぐために藁を使い、土手と呼ばれる部分を作る。その上に、ニードルフェルト、ウレタンチップ、ウレタンゴム、綿わ49
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