KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2017年10月号
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川カトリック夙川教会と遠藤周作今年春に話題となった映画「サイレンス」の原作『沈黙』をはじめ、キリスト教をテーマにした名作を数々手がけた小説家、遠藤周作。その文学の泉源は、夙川にある。ブログ「阪急沿線文学散歩」を発信するなど西宮と文学に詳しい西宮芦屋研究所の蓮沼純一さんの協力のもと、遠藤と縁の深いカトリック夙川教会を訪ねた。〝合わない服〟を着た場所 どんな人間にも意志とは関係なく、深い決定をさせられる場所があるとすれば、この夙川の教会が私にとってそうである。眼にはみえぬ大きなもの、大きな力を私は自分の人生を通じて知っている。 『落第坊主の履歴書』 遠藤周作は大正12年(1923)に東京で生まれ、大正15年(1926)に父の転勤で満州の大連へ渡ったが、10歳の時に父母の離婚により帰国し、六甲の伯母宅でひと夏を過ごした後に夙川へ移った。その後、仁川へ転居するまでの6年間を夙川で過ごすことになる。住んでいた場所は池の畔の借家とも、教会の北西ともいわれ、よくわからない。 遠藤の母、郁は姉に勧められ教会に通うようになった。もともとバイオリンを弾く音楽家で、西洋の文化と接点があった郁のこと、キリスト教はそう遠い存在でなかったと思料される。ゆえに敬虔なキリスト教徒とな本誌1970年4月号で取材を受ける遠藤周作Shukugawa30
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