KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2017年10月号
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る作品を多く手がけた。深山の弟子にして現在の一東書道会の会長で「かな文化」のユネスコ無形文化遺産登録も目指しているのは井茂圭洞(1936~)。その全国的な活躍ぶりはもはや説明の必要があるまい。兵庫県では漢字も含めて、かな書での芸術院の会員は、安東と彼のみだそうだ。さらに園部琴城、そして私の友人でもある深瀬裕之へと結びつく。 池内艸舟もまた神戸を拠点に書の道を歩み、その薫陶を受けた山口南なんそう艸(1931~2004)が草心会を創始した。山口はもともと晋唐の漢字を基盤にしていたが、池内との出会いからかな書に心を寄せ、大字かなの先駆者として活躍した。草心会は師から受け継いだ「艸」=草から、雑草の如き強い精神力で書の研究をという思いで名付けたそうで、現在は理事長の坂本千秋らが活躍している。 さて、正筆会の流れをみると、その会長を安東聖空から受け継いだのは西谷卯うぼく木(1904~1978)だ。神戸の生まれで16歳の頃に安東に師事、やがて師と入れ替わるように第一神戸高等女学校の教師となり、戦後もそのまま神戸高校の教壇に立った。ゆえに正筆会に県一や神戸高校関係者が多い。平安時代の名筆研究にとどまらず、本阿弥光悦や良寛など書の世界を広げ、生田の森に石碑がある。正筆会は現在、西谷の愛弟子の黒田賢一が牽引し、大きく発展している。 さらに安東聖空の弟子の榎倉香邨(1923~)から岩永栖邨と続く書道香瓔会も、30年以上のすばらしい歴史がある。 以上、神戸のかな書道の流れをざっと紹介したが、門外漢ゆえ不十分なのと、他にも使命に燃えて活動されている書家の先生方をご紹介できなかった事をご容赦願いたい。 感謝と感謝の心で結びついた真の師弟の繋がりが連綿とある中で、神戸の地から安東聖空の発した、まあるい喜びの波紋が、今も大きく無限に広がっている。※敬称略※神戸高校同窓誌『鵬友』、筑摩書房『現代書道教室 安東聖空』『現代書道教室 桑田笹舟』、実業之日本社『入門書道全集かな』、神戸市立博物館ホームページ、ふくやま書道美術館ホームページ、兵庫県芸術文化協会ホームページ、一東書道会ホームページ、書道草心会ホームページ、書道香瓔会ホームページなどを参考にしました。【神戸のかな書道の系譜】正筆会書道香瓔会一楽書芸院草心会一東書道会安東聖空(1893-1983)西谷卯木(1904-1974)榎倉香邨(1923-)池内艸舟(1914-1993)山口南艸(1931-2004)井茂圭洞(1936-)坂本千秋桑田笹舟(1900-1989)黒田賢一(1947-)岩永栖邨かな書道のパイオニア正筆会2代目会長書道香瓔会を設立書道香瓔会を設立草心会を設立かな書での芸術会員は安東と井茂のみ一楽書芸院を設立 安東とともに正筆会を設立深山龍洞(1903-1980)一東書道会を設立深瀬裕之園部琴城15

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