KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2017年9月号
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関西屈指の文教地区六甲界隈について六甲山の麓、緑の裾に佇む閑静な環境は関西屈指の文教地区として知られている。現在の阪急六甲駅の北西の篠原、駅の南の八幡を中心に、六甲エリアが歩んできたヒストリーを振り返ってみよう。先史時代の稀有な足跡日当たりの良い六甲山系の南麓は温暖で、清らかな水がある。実り多い木々が茂り、猪などの獲物も棲み、すぐ近くには海があるから魚も容易に得ることができたであろう。狩猟採集で暮らしをたてていたわれわれの祖先にとって、ここは理想的な環境だったに違いない。ゆえに有史以前から人々がいきいきと暮らしていたようだ。阪急六甲駅の北西、六甲川と杣谷川の合流地点一帯に広がる篠原遺跡からは、歴史の教科書をめくって数ページの時代の痕跡が発掘されている。縄文中期から後期にかけての竪穴式住居やお墓など跡だけでなく、石器類が出土。さらに縄文時代の特徴が色濃い亀ヶ岡式土器、遮光器型土偶、注口土器なども見つかった。いずれも青森~岩手~宮城で見つかったものと同じようなスタイルで、もしかするとこの頃から東北と行き来があったのかもしれない。ちなみに遮光型土偶は腰や乳、太ももが張った女性を模しているとされ、ど【上】46

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