KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2017年9月号
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り、古く兵庫の津の発展に見るように、風の向きに作用する地形も幸いしました。海の深さと風の向き、これらが神戸港が貿易港として発展した、自然科学的な要因です。 神戸大学の前身である神戸商業高等学校は「経営学」を学ぶコースが日本で最初に作られました。一橋大学の前身である東京高等商業学校にも商学はありましたが、こちらは商学の研究を主に行っていた一方で、神戸商高では神戸港を有する神戸で、将来は世界との貿易に携わるような人材を作り上げようと、実務にも強い学校にしたかったのです。これも、神戸港が一大貿易港であったからこその動きでした。 山からの水が川を通って海へ流れ込み、栄養のあるプランクトンの生成によって海の水質や生き物の生育にも関わってくるということもよく知られています。六甲山は崩れやすい花崗岩でできていますが、そこからの湧き水は灘の酒づくりに欠かせない宮水として、また「腐らないコウベウォーター」として世界の船乗りの間でも有名な、歴史ある良質な水です。六甲山の都市資源をより良く、次世代に―私たちも六甲山の環境を守っていかなくてはなりませんね。 天皇陛下が皇太子時代に養育係を任された、小泉信三さんという方がおられます。この方が随筆『平生の心がけ』六甲山から見渡す神戸港44

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