KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2017年8月号
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スティンドグラス作家村岡靖泰さん光が射し込むと建物の中に美しい色の光を落とし、夜は建物の外に輝く光を放つスティンドグラス。「スティンドの光には、人の心を癒す力があるんです」と、40年以上にわたりスティンドグラス作品を造り続けてきた村岡さんは話します。まごころをこめて光の加減によって刻一刻と輝きの表情を変えるスティンドグラスは、「世界最古の可変芸術」だという。村岡さんはヨーロッパで自らオーダーし買い付けてくるガラスを、より日本の建物や環境に合う淡い色合いを実現させるため、伝統的な「腐食」の技術によって美しいグラデーションを創り出す。もとは銀行員だったが、ノートルダム大聖堂のスティンドグラスの美しさに魅了され、本場ヨーロッパへ。スティンド工房のオーナー、フィリップ・エドガー氏との出会いから、世界的に有名な工房「ジョン・ハードマンスタジオ」に日本人として初めて弟子入り。客船のスティンド造りやミュージアムの修復など、10年の修行ののち、J・H工房では異例ともいえる“のれんわけ”を許された。村岡さんは今も、当時身につけた技法を守り続けている。カットしたガラスをフッ化水素酸で腐食させグラデーションを表現する「エイシット技法」、絵付けをした後さらに焼きつけるなど、時間は倍かかるがやはり名門の伝統的な技法は、光の美し一般住宅への普及にも力を注ぐ。住む人だけでなく、道行く人をも癒すから村岡さんがヨーロッパでオーダーし買い付ける手作りのガラスガラスの腐食により、多様な色合いや模様を生み出す神戸のクラフトマンたち36

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