KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2017年7月号
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自然豊かな郊外住宅地として愛され続ける御影界隈坂本 勝比古 さん (神戸芸術工科大学 名誉教授・工学博士) 「汽笛一声新橋を♪」と、明治5年(1872)に東京新橋―横浜桜木町を結ぶ日本初の官営鉄道が開業。その2年後、明治7年(1874)5月、国内2番目に開業した官営鉄道が大阪―神戸間の路線でした。大阪―神戸間を70分で走ったこの鉄道、途中の停車駅は神崎、西宮、住吉、三宮のみ。「このうち住吉に停車したことが、この地を発展させる要因のひとつになったともいえます」と、坂本勝比古さんは話します。近代資本主義経済によって日本が大きく発展した明治期、財界人がこぞって邸宅を構えた御影・住吉。『日本一の長者村』とも呼ばれたこの地の発展と、そこで芽生えた邸宅文化について、近代建築史研究家の坂本勝比古さんにお話をうかがいました。坂本 勝比古(さかもと かつひこ)大正15年(1926)、中国山東省青島市生まれ。旧制神戸工業専門学校(現神戸大学工学部)卒業、神戸市建築局、教育委員会、ICOMOS(ローマ)留学。千葉大学工学部教授、神戸芸術工科大学教授、同名誉教授。1996年第22回明治村賞受賞。1998年神戸市文化賞受賞。2017年日本建築協会賞受賞お屋敷街の風情を残すザ・ガーデン・プレイス・蘇州園の正門。写真提供/ザ・ガーデン・プレイス・蘇州園建物や庭園は御影の邸宅文化を今に伝えている。写真提供/ザ・ガーデン・プレイス・蘇州園32

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