KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2017年6月号
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緑の木陰が神戸の坂の石畳に映りこみ、美しい季節がやって参りました。この度の家具は、1880年頃のベルギーのリエージュで作られたものです。ウォールナットの木を使用して、キャビネットのトップにはルイ15世時代に好まれたロココ様式の代表的なデザイン、ロカイユが施されています。ロカイユは貝殻や砂、水等の模様をデザイン化したもので、女らしい家具にはよく施されているデザインなのです。細やかな五面のガラスで囲まれ、コーナーごとにロカイユの装飾が施された大変美しい飾り棚です。中央の浅めのガラスケースには銀細工の美しい逸品をディスプレイしたりする様になっています。当時は、コレクターズアイテムとして銀細工の美しいティータイム用のサーバーや小さなアクセサリーの様な花束を入れるポー立ち姿も美しいバランスのディスプレイキャビネットCスクロールやS字スクロールのロカイユデザインガラスの縁飾りのロココの繊細なデザインジーホルダーが流行しました。そんな珍しい品々をディスプレイして来客の方々との話題を広げるトーキンググッズともなりました。ですから、この様な美しいディスプレイキャビネットは、来客を招くお部屋、応接間に配置して楽しみます。ここまで細やかな装飾を施したディテールの美しいディスプレイキャビネットは大変珍しいものなのです。“特別なもの”との出会いベール・ド・フージェールの家具佐藤 よし子(さとう よしこ)1988年、日本初の英国式フィニッシングスクール『ザ・クイーンズ・フィニッシングスクール』を神戸にて開校。ハウスキーピングやテーブルセッティング、マナーについて指導。『ダウントンアビー』の世界などをレクチャー。NHKテレビ『美の壺』、『グレーテルのかまど』、雑誌『家庭画報』、『婦人画報』など各種メディアにて活躍中佐藤よし子がご紹介する今月の逸品 ⑪10

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