KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2017年5月号
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新緑の美しいトアロード、神戸に沢山のゲストがいらっしゃる時、昔ながらの町並みがゲストのお迎えをしています。その昔、パーティで伺った異人館のお宅の中でよく見かけたのがライティングビューローでした。この度は、女主人が必ず一台は大切に所有していたというライティングビューローでシリンダー式(巻き込み戸書記用机)1890年頃のフランス製の逸品を見つけました。このタイプの物は1700年代に最初作られました。本商品は、ローズウッド材で仕上げられた細やかなデザインの物です。当時は、女性は手紙や招待状を書く事が大変多く、ライティングビューロ―は必需品でした。手紙をしたためる時にもエレガントに過ごせる様にと職人達は女らしく美しく楽しめる作品のオーダーを受け、館に合ったサイズとインテリアの様式に合ったデザインで仕上げるのです。エレガントなフォルムのライティングビューロ―。仲の良い絆の象徴の二羽の小鳥、そしてリボンや楽器の象嵌蓋をスライドさせ書記板を引き出すサイドにも楽器、花、リボンの象嵌が施されているこの当時大変好まれた象嵌のマーケットリーの花や鳥やリボンの他に、インストロメンタル、つまり楽器のデザインも蓋部分と両サイドに施されています。カーブした美しい蓋をスライドして引き上げると内部に作られた4つの小引き出しが現れます。ロココシェイプに仕上げられ、当時のカードを収めるのに良いサイズに作られています。又、天板の金属のギャラリーが施されその周りには金属のスワッグとタッセルが囲む様に飾られています。これからパーティの多い季節です。こんなライティングビューローを窓辺に飾り、美しいお庭を眺めながら筆をしたためては如何でしょうか。“特別なもの”との出会いベール・ド・フージェールの家具佐藤 よし子(さとう よしこ)1988年、日本初の英国式フィニッシングスクール『ザ・クイーンズ・フィニッシングスクール』を神戸にて開校。ハウスキーピングやテーブルセッティング、マナーについて指導。『ダウントンアビー』の世界などをレクチャー。NHKテレビ『美の壺』、『グレーテルのかまど』、雑誌『家庭画報』、『婦人画報』など各種メディアにて活躍中佐藤よし子がご紹介する今月の逸品 ⑩10

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