KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2017年4月号
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普通の人の目線で歴史を見つめる 幕末から明治初期にかけての開港の歴史は、坂本龍馬や勝海舟それに伊藤博文のような活躍した英雄談が中心で、一般の庶民の目線ではあまり語られていません。特に北野のような山裾の寒村の人たちは、江戸や大坂の町の人たちに比べて純朴に生きていましたから、開港の驚きも衝撃も大きかったはずです。江戸・大阪の庶民たちはいわゆる町人で、町の中にいましたので、かわら版だとかの情報源がありましたが、当時の神戸や北野ではそういったメディアはありません。そういった状況の中で、神戸の人々がドラスティックな一連の劇的な変化をどう受け止め、どう生き抜いたのかを考えることが必要なように思うのです。彼らの考え方や生き方こそが神戸の発展の原点となり、神戸の方向性を決定したのではないかと思うのです。 神戸の人たちが、外国人がやって来たときにどのように受け止め、どう考えて行動したのかは日本人の記録として残されていませんが、当時神戸に来たイラストレイテッド・ロンドンニューズに掲載された神戸開港を伝える銅版画。左下の白い部分が外国人居留地37

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