KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2017年3月号
35/49

脂がのってとにかく旨い 身は鮮烈な紅桜色。マスの中で最も美味といわれているだけあって旨味に満ち、煮ても焼いても揚げてもよし。でもやはり刺身が第一席という。サーモンの刺身は身がやわらかいイメージだが、「淡路島サクラマス」は身が締まっていて、コリコリとした食感が心地良い。しかし、非常によくのった脂の融点が低いため、とろけるように舌に馴染んでいく。言葉で表現すると相矛盾するが、口にすればその不思議な感覚に膝を打つだろう。しかも「出荷時期によって微妙に脂の風味が違うんです」と前田さん。3月頃はあっさりめ、5月頃は濃厚になるという。シーズン中でも食べ比べできるというのもまた魅力だ。 スタートしたばかりの今は生産量が少ないばかりか、島外への出荷はわずかで、今のところ「淡路島サクラマス」をいただけるのは主に淡路島の飲食店や宿泊施設などに限られており、〝淡路でしか食べられない〟と言ってもいい。しかも鋭意メニューを開発中とのこと。3月1日より南あわじ市内20店舗で、サクラマス丼とサクラマス鍋がリリースされ、気軽に味わうことができそうだ。 サケ・マス類の中でも稀少なサクラマスは市場価値も取引価格も高いため、産業の面からも期待がかかる。若男水産に続く業者が現れれば出荷量が増え、「淡路島3年とらふぐ」と同様にブランドが定着し、水産業の活性化のみならず観光業などへも大きな波及効果が期待できそうだ。 海の男の格闘が、やがて満開になって淡路の春を彩るだろう。若男水産 0799・52・3561http://www.3nen-torafugu.com/淡路島サクラマスのレアカツと新玉ねぎのリゾット(ホテルニューアワジ プラザ淡路島ダイニング )紅桜色の身はマスの中で最も美味と言われる淡路島サクラマスの桜寿司(あわじ浜離宮)35

元のページ 

page 35

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です