KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2017年3月号
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とで身が赤くなるのだ。餌のペレットにはこの成分が含まれ、臭み消しにハーブも配合されているとか。しかし、前田さんはここに淡路らしさを追求、ポリフェノールを多く含むたまねぎの皮を練り込んだ餌を開発し、今後与えていくという。また、イカナゴの食いつきが良いが「そればかり与えると身が白くなるので、そこは考えなければいけませんね」とアイデアを練っている。 餌の与え方も慎重だ。実は養殖をはじめた昨シーズン、半分が死んでしまったという。機械で餌を撒いたことにその原因を見出し、今では人の手でしっかりと餌付けしている。また、約2か月育てたら一尾ずつ手作業で選別し、大きな魚と小さな魚を別々の生け簀に分けて共食いを防いでいる。寒い時期なのに手間がかかる作業を厭わない。 2月中頃になると生け簀を沖に移動、播磨灘と紀淡海峡の流れが喧嘩して生まれる鳴門海峡の日本一速い潮にもまれ、サクラマスはしっかりとした身に育つ。福良湾は水温が低いため鯛が冬を越せないそうだが、低温を好むサクラマスには絶好の住処なのだ。 そして桜の便りがニュースを賑わす3月になると、出荷の時期を迎える。サクラマスは成長が早く、稚魚の頃は300グラム前後だったが、出荷時期には1キロ程度と立派に成長、シーズン終盤にはなんと1.5キロ前後にまで大きくなるそうだ。水温が18℃を越えると死んでしまうため、生での出荷は5月まで。ゆえに新鮮なものが食べたければ春しかない。シーズン的にはトラフグとハモの間で、淡路の旬魚の〝セットアッパー〟としても注目だ。エサには臭みを消すためにハーブを配合している。人の手でしっかりと餌を与える34

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