KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2017年3月号
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下ったもので、釣り人たちは年に一尾でも釣れればラッキーという〝幻の魚〟だ。それもそのはず、個体数が減少し準絶滅危惧種に指定されている。ちなみに、アマゴが海で育つとサツキマスになるそうだ。 矢印が突き刺さるように海が入り込む福良湾の突き当たりで、若男水産は一昨年から淡路で初めてサクラマスの養殖に取り組んでいる。社長の前田若男さんは、今ではすっかり淡路島の特産品となった「淡路島3年とらふぐ」の仕掛け人だ。養殖サクラマスが市場に多く出回っていないことからもわかるように、この魚の養殖は全国でも前例がそう多くない。ゆえに、難しいとされるトラフグの養殖技術を確立した彼をもってしても、日々試行錯誤だという。それでも「挑戦するのが楽しいのですよ」と前田さんは、工夫と手間を惜しみなく注いで立ち向かっている。餌やりひとつも慎重に 養殖は冬から春にかけておこなわれる。静岡、熱海の業者から稚魚を購入し生け簀で育てるが、稚魚は淡水で育っているので、海水へ適応させなければいけない。しかも急激な温度変化に弱い。そこで、生け簀の上にシートを敷いて海水を遮断し、その上にトラックで運んできた稚魚を水ごと放流。数時間かけてシートに少しずつ海水を流し込み開放し、水温の変化をおだやかにしながら海水にじっくり慣れさせていく。 餌はサケ・マス専用のペレットを与える。実はサケ科は白身魚だということをご存じだろうか?エビやカニに含まれるアスタキサンチンという色素を摂るこ福良湾は「淡路島3年とらふぐ」を育てた漁港として知られている。前田さんの若男水産もそのひとつ養殖は冬から春にかけておこなわれる出荷時期には1キロ程度まで成長33

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