KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2017年2月号
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本の伝統文化を守ることにつながっています。先生は、横綱の化粧回しや、前ローマ法王の法衣を博多織でお作りになったこともあります。それによって、博多織の工房が活性化することにつながりますよね。桂 着物は、世界各国の民族衣装の中で、いちばん芸術的価値がある、アーティスティックな衣装だと思います。その伝統文化をなくしてしまう訳にはゆきません。イギリスのダイアナ妃が結婚式を挙げられた1981年が、結婚式において和装と洋装の転換期になったといわれています。それまでは、式は和装で、お色直しでドレスを着るというのが主流でしたが、ダイアナ妃の美しいウエディングドレス姿をテレビで見た日本中の女性が、式でも白いドレスを着たいと希望しました。またそれに合わせて、チャペルの建設ラッシュも同時に起き、和装離れにつながりました。 私は着物を廃れさせないために1984年から和装のデザインに取り組み始め、様々な改革を行ってきました。当時の婚礼和装のヘアメイクは日本髪のかつらに白塗りメイクでしたが、どうしても似合わないという人には地毛のヘアスタイルにナチュラルメイクを勧めたり、着付け時間の短縮のため、振袖や掛下をツーピース式にするなどの工夫を行いました。その甲斐もあり、年々和装への関心が高まり、和から洋、洋から和への衣装チェンジが一般的になりました。いずれにしても「セレモニーは厳粛に、レセプションは楽しく」をモットーに和洋を両立させた日本人ならではの結婚式を挙げて欲しいですね。また、同時期に花婿のワンパターンファッションに対しての改革も行ってきました。テールコートやスペンサースーツ、セレモニーコートを次々に発表し、多様化するウエディングドレスと「格」を合わせた花婿の装いを提案しています。例えばテールコートは黒だけでなく、白やグレーなどもあります。8月のショーではゲストの片岡愛之助さんが藍色のテールコート姿を披露し、「これはYUMIブルーというんですよね」とPRしてくださいましたよ。玉岡 あの美しい色は「YUMIブルー」というんですね。桂先生のドレスは、芸能人など話題の方が着られているのがすごい1963年のパリ留学時代の写真。桂さんは当時、女性週刊誌「女性自身」の特派員として著名人の取材を行っていたこともあるという40

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