KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2017年2月号
27/46

ニックの創業者、松下幸之助だ。昭和12年(1937)から足かけ3年かけて建築されたその邸宅は光こううんそう雲荘といい、現在は枚方に移築保存されているが、阪神間モダニズム後期を代表する和館として建築的価値が高い。 光雲荘の建てられた場所はかつて、万葉集にも詠まれた風光明媚の地、名次山。郊外住宅地として注目を浴びていた阪神間の中でも、ニテコ池を望む特等席といえるロケーションにあった。 その広大な敷地で幸之助が目指したのは「三百年後の遺構」。幸之助は「今後おそらく三百年も先には、この当時の日本建築というものがいろんな形において、いろいろ吟味されたり参考にされたりするだろう。そのときに、じゅうぶん参考に供されるような建物を建てておきたい」と昭和37年に日経新聞へ寄せた稿で記しているが、その視点のスケールの大きさに驚かされる。 建物もまたスケールが大きい。玄関から門まで歩いて3分ともいわれ、これは、西宮神社の表大門から本殿までと同じ松下家の公私にわたるおもてなしの場となった「光雲荘」。写真提供/パナソニック広報部27

元のページ 

page 27

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です