KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2017年1月号
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神社に来たのがご縁で宮司を務めることになりました。西宮に来た時には、山も海もあり、気候が良くていい所だなあと思いましたね。生まれ育ったのが岡山県の山の中ですから海には憧れがあり、若い頃には友だちとディンギーに乗り、その後は24フィートのヨットでしばしば今津のヨットハーバーから出航して、須磨の辺りまでセーリングを楽しみました。甲山がとてもきれいに見え、「なるほど!神功皇后もこの神秘的な美しさに惹かれたんだなあ」と納得しましたね。 廣田神社は兵庫県指定天然記念物「コバノミツバツツジ」の名所です。六甲山に自生するツツジがなぜ群生していたのかは定かではありませんが、西宮神社の日記には正徳6年(1716)、既にこの境内にあったという記録が残っています。廣田の氏子さんたちはこの時期に日程を分けてお花見をして、境内に臨時の交番もできるほどの賑わいだったようです。昭和の初めごろ、植物学者の牧野富太郎さんがやってきて、「ただ三つ葉 千万人を おびき寄せ」と芳名帳に句を残しておられます。戦後は大きく育った他の木に隠れてしまいましたが、何とかしようと保存会を作り、地元の人たちが頑張っています。4月上旬には約5万3千平方メートルの境内一帯に約2万株の薄紫色の花が咲き誇ります。皆さんよくご存じのように夙川は桜の名所で春になると賑わいますが、ぜひ廣田神社のコバノミツバツツジのお花見も楽しんでください。境内は古くから「コバノミツバツツジ」の名所であり、現在は保存会が保護に努めている51

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