KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2017年1月号
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は襲ってこない。まず偵察がやって来て色々情報を集め、一旦本部に戻ってから大挙して押し寄せるのである。一度に20匹ほどで来られると対処していなかったら2時間ほどで全滅だ。巣箱の入口はミツバチしか通れない広さにしているので、数の多いミツバチも簡単には巣に入ることが出来ず、巣門はミツバチでごった返している。そこに偵察のスズメバチがやってくると、ミツバチは弱いくせに巣を守るため果敢にもスズメバチめがけて突進していく。迎え撃つスズメバチは突進してくるミツバチをいとも簡単にかみ殺すが、多勢に無勢でミツバチに追われてスズメバチ捕獲器の中に逃げ込む。捕獲器はミツバチが通れてスズメバチは通れない金網で出来ており、二階建て構造になっている。蜂のように昆虫は高いほうへ登っていく性格があるのでこれを利用する。二階は外には出られない仕組みになっているので、二階に上がったが最期、スズメバチは捕獲される。8月を過ぎると沢山のスズメバチが捕獲器の中にトラップされる。 さらに様子を見に来たスズメバチが巣箱上の粘着シートに着地した途端、そのネバネバがくっついて身動きが出来なくなり、もがきながらも助けを呼ぶフェロモンを出す。あるいは攻撃フェロモンを出すとも言われているが、仲間のスズメバチが舞い降りてきて、またまた捕獲されることになる。この方法で有効なのはオオスズメバチである。キイロスズメバチは仲間を助けには来ない。 もうひとつの方法として、ペットボトルに砂糖水を入れエビオス錠など酵母菌を加えると発酵しスズメバチが寄ってくる。入るに容易で、出るのに困難な窓を作ると簡易捕獲器が出来上がる。それを巣箱の周りにつるしておけば、ペットボトル一杯のスズメバチを捕ることができる。市販されているハチトリもあり、これは劇とれだ。殺虫剤を使うとスズメバチだけでなくミツバチもやられてしまい、ハチミツも駄目になるので、このような方法で対処するのである。しかし、油断するとあっという間に巣箱の前に犠牲になったミツバチの山ができる。花蜜と花粉を積んだミツバチは動きが遅く、スズメバチに簡単に捕らえられてしまう金網は、ミツバチだけが通れてスズメバチが通れないような網目の大きさになっている37
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