KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2017年1月号
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医師会として単独でできることは限られていますが、議員や県民のみなさんによびかけて、そういうことが絶対に起こらないように運動していかなければいけないと思います。─国内からはどのような脅威がありますか。空地 超高齢化社会により社会保障費が増大し、一方で景気が低迷して非正規労働者の割合が増えてきていることです。もともと正規労働者が多く、各健康保険組合などに労働者も企業も保険料を納めていたのですが、どんどん非正規労働者に移った段階で企業の社会保険料の負担が徐々に減ってきました。また、国による社会保険料の負担割合も減ってきています。一方で国民健康保険加入者が増え、少ない収入の中から割高な保険料を納めないと医療が受けられなくなりました。そういうシステムは大変な脅威だと思います。また、医療保険はある意味助け合いの制度ですけど、所得に応じた負担の形がとれていないのではないかと思います。いま日本の社会の格差が広がっていますが、そうであれば富裕層がもう少し納めていくという形をつくるべきではないでしょうか。新たなプランで基盤強化を─県医師会はどのように県民の健康を支えていますか。空地 医師会は、行政とともに様々な保健活動を行っています。感染症対策や検診などの保健事業を実際に県民のみなさまに接して提供するのは郡市区の医師会であり、医師会会員であり、郡市の行政ですが、県医師会の仕事はその基盤やシステムをつくり、人材を育成することが中心です。ワクチンについては定期予防接種用のワクチンを確保できるよう、県行政と意見交換をおこなっています。また、万が一副反応が出た場合はどう対処するかすみやかに協議します。新型感染症が流行った場合にも、行政とタイアップして広がりを防ぎ、患者の治療体制の整備やワクチンの配布ができるようなシステムづくりも県医師会に求められています。学校保健については、郡市区医師会が学校医を派阪神・淡路大震災を経験した兵庫県医師会。東日本大震災ではその経験が医療支援に生かされた。そして熊本地震でも、医療や救援コーディネートを行った。この活動を検証するため一冊の本にまとめた。今後、日本で起こる災害時の備えとして日本医師会へも提言する33

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