KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2017年1月号
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があって、近畿医師会連合会のとりまとめ役も担当することになり、予想以上の忙しさでした。兵庫県は広く、いろいろな案件が入ってくるものだと実感しています。しかし、副会長をはじめ役員の先生が非常に優秀なので、がっちりと支えていただき、しっかり会を運営できていると思います。医師会は人材の宝庫ですよ。忙しさにはまだ慣れませんが、もしかしたら辞めるまで慣れないのかもしれませんね(笑)。─今年は兵庫県医師会設立70周年を迎えますが、抱負を。空地 戦後の焼け跡の中から、先輩たちが県医師会を再び立ち上げられて、営々として築いてこられました。その間に国民皆保険制度などさまざまな体制を整えてこられたのですね。その結果、日本が世界一の健康国家となり、WHOも医療体制が世界一であると認めるような素晴らしい国になりました。ですからそれを守って、さらに発展させていく、国民のための医療提供体制をしっかりと構築していくことが一番の抱負です。また、これから郡市区医師会は、高齢の方々が住み慣れた地域で安心して医療や介護を受けられる体制作りをしなければなりません。県医師会としては重要な役割を果たす郡市区医師会や現場の会員の先生方をしっかりとサポートして地域の医療、ひいては地域そのものや県民の健康を守っていきたいですね。─設立70周年の記念事業などは何かお考えですか。空地 現在、担当の委員会で検討していますが、いまの時点で決まっているのは、県医師会は県民のみなさんに近い存在だということを知っていただくための講演会ですね。10月14日(土)に兵庫県医師会館2階大ホールで、野坂昭如さんの奥さんで宝塚歌劇団出身のシャンソン歌手、野坂暘子さんに、野坂昭如さんを介護された実体験から「夫・野坂昭如と歩む介護の記録」というテーマでお話いただきます。記念式や60周年以降の10年をまとめた冊子の作成も検討しています。日本が誇る医療制度の危機─わが国の医療制度について、医療費が低い水準でありながら成果が高いのはなぜですか。空地 日本が他の先進諸国と比べ医療費が安い理由は、公的な医療保険制度を採用していることにあると思います。公的保険ですので利益追求も株主への配当も必要ありません。ですから集められた保険料の大部分が被保険者の診断や治療に使うことができるのです。また、日本では保険収載された医療がどこでも同じ価格で受けられます。これを公定価格といい、公的な機関が適正な価格を設定していますので、そこに上乗せして利益を出すようなことは全くおこなわ31
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