KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2016年12月号
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国の重要文化財に指定されている「風見鶏の館」(左)と「萌黄の館」現在でもレンガ塀や小道が残る景観計画地区に指定される「北野町、山本通」 北野町、山本通の異人館が集中するエリアは、国により伝統的建造物群保存地区に指定されて街並みが守られている。また、伝統的建造物群保存地区を囲むように、景観法に基づき、景観計画区域が図られている。建築物はもちろん、看板から植栽に至るまで厳しい規制により景観保全が義務づけられているのである。 この界隈では昭和30年代頃よりホテルが進出、さらに昭和40年代頃より高度成長期の建設ラッシュにより老朽化した異人館に代わってビルなどが建ち並ぶようになった。そんな状況に危惧を抱いた地元の人たちが街の美観の保存を訴え、さらに昭和52年(1977)にNHK連続テレビ小説『風見鶏』の放映で観光客が増加したことも相まってその機運が高まり、それが伝統的建造物群保存地区や景観計画区域の指定に結びつき、北野らしい異国情緒あふれる風景が守られ、受け継がれている。 現在は観光地として定着しているが、やはりその本質は住宅地。特に景観計画区域に指定されたことで、その緑や閑静さなどの環境まで保たれ、住み心地の良さも昔ながら。ここでは伝統、眺望、緑とともに、「暮らす価値」もまた守られているのである。北野異人館よ、とわに! 異人館を建築の面から見てみると、ヨーロッパの商人たちの歩みが浮かび上がってくる。列柱に支えられたバルコニー。建物正面中央に据えられた玄関。17~18世紀のヨーロッパ列強が支配した植民地に多くみられたコロニアル様式を受け継ぎ、イ22

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