KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2016年11月号
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邸などいくつかあったが、現在は姿を消し、彼の精神やデザインを受け継ぐ一粒社ヴォーリズ建築事務所による上田安子記念館がその記憶をとどめている。 夙川のランドマークと言えば、カトリック夙川教会だ。昭和7年(1932)に落成したネオゴシック様式の大聖堂はヨゼフ梅木省三の設計。エキゾチックな尖塔や荘厳なステンドグラスには、まさに美の神が宿っているようだ。 夙川の左岸には、対照的なモダニズムのテイストを持つ2つの素晴らしい住宅が、道を挟んで佇んでいる。 旧山本家住宅は、和と洋を近代的なセンスで融合させた建築。阪神間モダニズム末期の昭和13年(1938)築で、上質の材と上品なデザインで完成度が高い。茶室研究で知られた岡田孝男の作品ゆえ、派手さこそないが粋だ。 浦太郎邸は近代建築の巨匠、ル・コルビュジエの弟子である吉坂隆正の設計。正方形を巧みに組み合わせたユニークな構造で、縦横交互に積み上げた煉瓦の外壁がアクセント。スポット風の照明や雨水を滝に変える庇の穴など遊び心に満ち、ピロティの採用や色づかい、そして機能性に師のエスプリを感じる稀有な建築だ。旧山本家住宅は、阪神間モダニズム末期の昭和13年(1938)築浦太郎邸は近代建築の巨匠、ル・コルビュジエの弟子である吉坂隆正の設計ル・コルビュジエのエスプリを感じる稀有な建築。浦太郎邸縦横交互に積み上げた煉瓦の外壁。浦太郎邸27
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