KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2016年11月号
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“美しさ” に包まれて夙川千歳町の暮らし夙川に花咲いたモダニズム建築良好な環境こそ、名建築を生み出す何よりの土壌だ。大正時代より佳良な住宅地として注目を浴びてきた夙川にもまた、素晴らしい建築が息づいてきた。夙川ShukugawaShukugawaかつて、現在の殿山町や雲井町あたりには、関西学院大学や旧居留地38番館で知られるウィリアム・メレル・ヴォーリズの建築が10棟くらい存在していた。明るいスパニッシュ・ミッションスタイルは、赤松の緑濃い夙川の風景とマッチしていたことであろう。北米系の海外伝道組織、アメリカンボードミッションの住宅は大正11年(1922)に建てられた。宣教師の住まいらしく慎ましい建物であったが、コロニアルスタイルを踏襲し、赤煉瓦の煙突が印象的だったそうだ。ナショナルシティバンクの社宅は支店長宅のほか副支店長宅、経理課用、単身者用の4棟あり、テニスコートを中心にそれらの建物が配されていたという。ヴォーリズの住宅はほかにも阿部市太郎夙川のランドマークとなっているカトリック夙川教会26
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