KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2016年10月号
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ヴェルニマルタンという18世紀の技法の絵で、風景画と女性や子供、恋人達の図柄が多く描かれている家具の上にはヴィーナス誕生の絵にも描かれていた貝殻。貝殻は聖ヤコブの象徴とも言われ、ロココスタイルに好まれたデザイン北野の街並み映える美しいショーウインドウの中に飾られているアンティーク家具、何度足を運んでも飽きません。この度は、英国やヨーロッパの貴族達が旅行に出かけては、記念にと集めていた小物達を飾る為のコーナーキャビネットのお話です。貴族の館には女性達だけが集う小さなサロンがドローイングルームとは別にありました。そのサロンに小さなウォールナットのコーナーキャビネットが好んで配置されていました。このコーナーキャビネットは、1860年~1880年に作られた物で、ネオロココスタイル、金属が飾りで使われる事が多いのですが、これは手彫りの彫刻がほどこされ金彩もみられます。家具の扉の下にヴェルニマルタンという18世紀の技法でブーシェの絵画のような絵が施されています。当時貴重な鏡も内に張られ、中に飾られた物を引き立てました。細やかな細工のアカンサスやバラ、スクロール等が施され金箔も見える“特別なもの”との出会いベール・ド・フージェールの家具佐藤 よし子(さとう よしこ)1988年、日本初の英国式フィニッシングスクール『ザ・クイーンズ・フィニッシングスクール』を神戸にて開校。ハウスキーピングやテーブルセッティング、マナーについて指導。『ダウントンアビー』の世界などをレクチャー。NHKテレビ『美の壺』、『グレーテルのかまど』、雑誌『家庭画報』、『婦人画報』など各種メディアにて活躍中佐藤よし子がご紹介する今月の逸品 ③10
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