KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2016年9月号
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高校一年生の頃であったが、その時はただ驚くだけで何もせずに見ていると、やがてどこか山のほうへ去っていった。童心に返った様な気持ちであった。しかし気の毒だったのは春井さんで、防御ネットを被っていなかったので、あちこちミツバチに刺されたとのこと。私もボーとミツバチの回収劇を見ていたら、怒ったミツバチにチクリとやられた。刺された後は痒くなったが、一週間ほどで治った。少し犠牲は払ったが、ミツバチのファミリーが増えたので良しとしよう。 さて分蜂(巣分かれ)とは何かというと、ミツバチ一家の世代交代現象である。女王蜂も成熟し、働き蜂が一生懸命に蜜を集め、巣の中が蜜で一杯になると、人もミツバチも同じで満たされるとあまり働かなくなる。次にすることは命を次世代に繋げることである。そこでそのミツバチ一家の中に世代交代をしようという機運が高まり、王台という女王蜂専用の大きなベッドを作り、次の女王蜂誕生に備える。王台はいくつか作られ、そこから生まれた数匹の女王蜂候補同士の戦いが始まるのだが、 “真”の女王蜂の椅子はひとつだけである。古い女王蜂は、新しい女王蜂が生まれる前に70%位の働き蜂を従えて巣分かれし、どこかへ行ってしまう。人間なら子が独立するときは、子が親元から離れて行くケースが多いと思うが、ミツバチは反対で親が出ていくのである。 近年ミツバチが少なくなっているという。身近なところでは、北区のイチゴ農家はミツバチを利用してイチゴの花の受粉をしているという。もし人間が花粉を花のめしべに付ける人工授粉をするとなると労力はいるし、なかなか均等に授粉するのは難しい。上手く受粉しないと歪な形のイチゴができるそうだ。その点、ミツバチによる受粉は均一に行われるため、きれいな形のイチゴが出来るという。神戸市北区の二郎では生産者が県道沿いにブースを出して、美味しい二郎イチゴを販売している。ブースの傍にあるイチゴハウスを覗かせてもらうと、ハウス毎にミツバチの巣箱が置かれている。イチゴだけではない。いろいろな作物の受粉にミツバチは貢献しているのである。皆さんもミツバチどうですか。巣に新しい女王蜂が生まれると、古い女王蜂は働き蜂とともに巣を出ていくが、その際、密集して大きな塊をつくる発見した分蜂を巣箱に迎え入れる、俵養蜂場の春井さん群れを段ボールに入れて、用意した新しい巣箱へと移動させる45

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