KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2016年9月号
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信頼される良医の育成を目指す原子核工学から医学の道へ―もともとは原子核工学を学ばれていたそうですね。今のお仕事に就かれるまでには、どのようなことがありましたか。野口 元々、物理が好きでしたので京都大学工学部原子核工学科に進学しました。学問としては非常に楽しかったのですが、いざ就職先となると限られてし兵庫医科大学 学長野口 光 一 さん今年4月、兵庫医科大学学長に就任した野口光一さんに、地域で信頼される良医を育成するための教育方針や学生たちへの思いなどお聞きした。まいます。また、極めて巨大科学である原子力は個人の努力ではどうしようもない分野だと感じました。そこで、自分の努力で成果を出せる分野のひとつである医学の道を目指しました。 当初は医者になるために、漠然とした思いで医学部に入学し、卒業後、整形外科の臨床で3年ほど過ごしました。その後、大阪大学の大学院で、医学研究のおもしろさに目覚め、そこで初めてこの仕事に一生をかけようと決意しました。また、本学に来てからは教育のおもしろさ、学生とのコミュニケーションの楽しさに目覚めました。信頼される医師になるために―兵庫医科大学の学生気質は。野口 学生の約8割が医師の子弟ということもあり、皆「医者になろう」という意欲を持っています。また、性格が温和で優しい学生が多いですね。いい意味でのんびりしていて、将来、「患者さんに優しくできる医師」になる素質があると思います。これは医師としては極めて重要なことです。 しかし、それだけではプロにはなれません。技術・技能を身に付け、専門性を高めることができれば、地元で信頼される医師として、地域に貢献できると期野口 光一(のぐち こういち)1956年生まれ。1979年京都大学工学部原子核工学科卒業。1983年大阪大学 医学部 卒業。1989年大阪大学大学院医学研究科修了。1994年兵庫医科大学教授などをへて、2016年4月より兵庫医科大学学長に就任。2012年兵庫県科学賞を受賞くらしと医療を考える32

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