KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2016年9月号
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灘中・灘高生気質小松原 灘中学校は地元の酒造会社の協力を得て開校されたそうですね。和田 大正末期から昭和にかけ、阪神間は教育熱が非常に高い特殊な環境にあり、中学進学希望者が全国平均を大きく上回っていました。私立中学開設の機運が高まり、西宮に甲陽学院、岡本に甲南学園が創設されました。さらに魚崎、住吉界わいからの要請を受け、酒造業を営む嘉納治郎右衛門、嘉納治兵衛、山邑太左衛門によって灘中学校が設立されました。嘉納家の親戚筋で、講道館の創設者であり、東京高等師範学校校長を長く務められた嘉納治五郎先生にご尽力をいただき昭和3年(1928)、開校に至りました。今年で89年目を迎えます。小松原 私は、日能研から灘中へ進学した子どもに会って話したり、町中でも普段の灘中・高生を見かけたりする機会がありますが、みんな楽しそうですね。自分の興味のある分野に徹底的にのめり込んでいます。例えば、虫にはすごく詳しいとか、建築物ばかり見て歩いているとか、興味のない人から見ると「何の価値があるのだろう?」と思うことでも、周りの子たちが、「コイツすごいねんで!」と認めています。必ず「ちょっと変わってるけど…」と枕詞が付きますが(笑)。和田 小学生時代になると、周りのことを考えなくてはいけません、他人と違うことはやってはいけません、自分勝手な質問をしてはいけません等々の制約を受け我慢してきた子どもが多いように思います。本校に入って解放されているようです。尖った個性はせっかく良い個性だから、丸くしないで伸ばしてあげようと本校では考えています。そうは言ってもお互いの個性がぶつかり合ってトラブルが起こってはいけないので、個性を尊重し合って伸びていく、認め合いながら協力していくという姿勢を教えています。これは嘉納治五郎先生から頂いた校是「精力善用」「自他共栄」の精神で、自分の力を最大限に活用し、全体のバランスを取って皆で幸せになろうという考えが基本です。小松原 自分の楽しみとして、本館は国の登録有形文化財に登録されている「本校の文化祭はおもしろいですよ」と和田校長世界の秀才が集う数学オリンピック地元の酒造会社の尽力で開校し、89年目を迎える灘中学・高等学校23

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