KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2016年9月号
10/56
便箋や封筒、カードなどを入れるための扉部分にも、大切な意味をもつ蝶や鳥、花束がほどこされている細やかな細工が施されたトップの部分ボヌール・デュ・ジュール。繊細な貴婦人のためのライティングビューロー引き出し式のデスクには、18世紀に好まれた緑の革が、美しく装飾され張られている美しい家具たちについて、連載2回目です。毎月、ベール・ド・フージェールに伺うのを楽しみにしています。そしてこのたび見つけたのが、ボヌール・デュ・ジュール。英国ではライティングファニチャーともよばれ、レディが寝室やプライベートスペースに置いて使うための、小ぶりな美しい宝石のような逸品です。これは1870年から1880年頃の英国のもので、家具の象嵌が特徴で当時貴婦人が好んだ愛の象徴の小鳥、人生をあらわす大輪の薔薇、そして英国ではあまり見ることができない蝶がちりばめられています。蝶はシノワズリーでもあり、ステイタスシンボルでした。象嵌はバードアイメープルにローズウッドやサテンウッド、エボニーなどを使って作られています。金属の装飾はリボン、アカンサス等を陶磁器によく使われる英国ネオロココの女性好みのデザインが使用されています。サイドにも小さな棚がつけられている“特別なもの”との出会いベール・ド・フージェールの家具佐藤 よし子(さとう よしこ)1988年、日本初の英国式フィニッシングスクール『ザ・クイーンズ・フィニッシングスクール』を神戸にて開校。ハウスキーピングやテーブルセッティング、マナーについて指導。『ダウントンアビー』の世界などをレクチャー。NHKテレビ『美の壺』、『グレーテルのかまど』、雑誌『家庭画報』、『婦人画報』など各種メディアにて活躍中佐藤よし子がご紹介する今月の逸品 ②10
元のページ