KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2016年8月号
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いいますが、そのエリアの中でそこに住まう人々がサロンを作って音楽会やホームパーティーを開き、他の地にはないサロン文化が発展しました。人を育てる文化が昔からあったのでしょう。―住まい文化の継承もそのひとつですね。 芦屋市では、今年の7月に看板規制の条例を定めました。ただやはり“芦屋らしさ”というか、看板のディテール等にこだわったり、街の調和に配慮をするのが芦屋ですので、街のもっている魅力をどう生かしていけるかということですね。これも、住む人が住む街を守ろう、それを次世代に継承していこうというしっかりとした意識をもっている結果なのです。 それもエリアごとの棲み分けということに関わってくるかと思います。住まいの環境を守りたいという方がいる一方で、生活を支えるお店とをどう折り合いをつけていくのかが課題になりますが、東山町では街としての棲み分けがうまくできていると感じます。東山町周辺には、道路沿いに上質で人気のお店が違和感なく建ち並んでいます。「ここでお店を出したい」という方も結構おられます。東山町は、山の手エリアの最前列ですので、JR芦屋駅エリアにも近いという利便性のよさも人気のひとつなのではないでしょうか。散歩をすることが楽しみな街並み―芦屋神社も緑豊かな神社です。現役時代の長嶋茂雄さんが関西遠征中に毎日散歩をされたことでも知られています。また、地域の方の信仰を集めておられますね。 長嶋さんは、選手や監督の時代からよくいらしてくださったようです。巨人軍の定宿が芦屋にありましたので、毎朝ランニングしてここまで来られたとか。芦屋の街を見守りつづける芦屋神社東山町の街並み監督になってからも必勝祈願に来られましたし、他球団の野球選手の方や奥様などが現在もよく参拝に来られますよ。 神社周辺の邸宅の中には、ミカンや柿、ツツジなど、元々この地の里山にあった樹木をそのままお庭に残しているお宅をよく見かけます。これは庭園の景観に配慮しているだけでなく、隣近所の邸宅に対して、庭木などで視界を遮ることにも配慮しています。自然な気配りという点も芦屋の邸宅文化のひとつではないかと考えています。お庭をきれいに手入れされ、花々を美しく咲かせているお家も多いですから、私も毎日、付近を散歩するのが楽しみなんですよ。55

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