KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2016年8月号
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山本中央市民病院の眼科が移転しますので、先進医療部門での網膜色素上皮移植治療ばかりでなく、白内障手術や網膜硝子体手術などの眼科一般診療も受けることができるとされています。また、網膜再生医療には、ロービジョンケアが必要ですので、国立障害者リハビリセンターからロービジョンケアの専門家を招聘するなどして充実したリハビリ部門を開設するとのことです。─網膜色素上皮移植治療とはどのようなものですか。山本加齢黄斑変性という疾患では、黄斑部の網膜色素上皮細胞が新生血管により傷害されています。網膜色素上皮移植治療とは、新生血管を除去するとともに、皮膚から作ったiPS細胞で網膜色素上皮細胞をシート状に育てて覆うという治療です(図2)。2014年9月、理化学研究所(CDB)の高橋政代プロジェクトリーダーらは、iPS細胞を使用した世界初の臨床研究を実施しました。加齢黄斑変性は高齢化などにより近年患者が増えており、失明原因の第4位になっています。しかし、最近まで有効な治療法がありませんでしたので、iPS細胞を用いて網膜再生をおこなう網膜色素上皮移植治療には大きな期待と注目が集まっています。─(仮称)神戸アイセンター設立の背景、経緯や意義について教えてください。山本世界には眼科病院と研究施設の両方の機能を備えたアイセンターは数々ありますが、日本にはありません。私が20年以上前に留学していたMassachusettsEyeandEarInfirmaryも研究施設が配置された病院で、基礎研究者と臨床医が情報を共有して、最先端の治療に取り組む環境が整備されていました。もちろん研究費も潤沢でした。高橋政代先生も、網膜再生医療を実現す(図1)「(仮称)神戸アイセンター」全体コンセプト再生医療で用いる細胞などをクリーンルームで培養iPS細胞を用いた再生医療など眼科領域における最先端の研究ロービジョンケアに関する情報発信や、リハビリなど世界初のiPS細胞を用いた網膜治療など、眼科領域における最先端の医療先端医療振興財団等理化学研究所(公社)NEXT VISION先端医療振興財団基礎研究から臨床応用、治験、リハビリまで、同じ建物内で一気通貫で対応(仮称)神戸アイセンター 〈イメージ〉45細胞培養基礎研究リハビリ(ロービジョンケア)臨床

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