KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2016年8月号
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が、親はぜひ関西でやってほしいと願っていたのですけど、本人たちの希望でハワイと東京で式を挙げました。私たちの時代のことを思うと、昔は「ご両家」といって結婚は家と家の結びつきが強かったものでしたが、今は個人のものになっているようです。その娘がぜひ桂先生のドレスを着たいと言いまして、何回も打ち合わせに行くうちに、桂先生にお会いしました。昨年、桂先生はブライダルデザイナー業50周年、半世紀を迎えられたそうです。桂先生が2言目におっしゃっていたことは、「私が始めた頃は、ブライダルっていう言葉すらなかったのよ」ということです。その当時は、「婚礼衣裳」なんて言っていて、町の美容院が実権を握っていたと思いません?私も鬘(かつら)合わせに出かけましたが、文金高島田がきつくてサイズが合わなくても、「これ伸ばしといてあげるわ」なんて言われて、つまり人間が鬘に合わせていたんです。桂先生はそこに疑問を投げかけ、「物ありきではなく、人間に合わせてドレスや鬘を作りたい」と思われたんです。桂先生はこれまで、ブライダル業界において「苦労が3つあった」とおっしゃいました。まず、桂先生がデザインしたウエディングドレスを最初にデパートに売り込んだとき、婚礼の部長さんが出てこられて、たくさん並んでいた黒振袖(当時はこれしかなかった)の着物を見せられ、「うちにはこんなに品揃えがある。ドレスなんか持って来られたら、これらが売れなくなって売り上げが半減する」と言われたそうです。自分たちの既得権益が減るからドレスを売らないなんて、そんなバカなことがあるかと。そこで桂先生は自分のアトリエでドレスを売ることにして、最初は赤坂にオープンされたんですが、芸能人の方なんかが訪れてオーダーメイドで作られた。「桂由美がドレスを売ったおかげで着物の売り上げが減った。」と、業界からのバッシングは相当なものだったそうです。でも、花嫁は軽くて素敵な、桂先生のドレスを選んだんです。その後、イギリスのダイアナ妃のロイヤルウエディングから世の意識が変わったと桂先生はおっしゃいました。花嫁がティアラを6月23日に発売となった『ウエディングドレス』(幻冬舎)。6月23日に発売となった『ウエディングドレス』(幻冬舎)。1600円+税15

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