KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2016年7月号
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思ったことをしゃべります。語彙は少ないのに自由に話をするんですよね。自由に発想し、遊んで、歌って、踊る。そして自由に夢を描いていることが素晴らしい。でもちゃんと話を聞いて様子もうかがい、子どもなりに考え、理解している。驚いたり、心から感動したり、人や植物や動物なども自分なりに愛しているんだろうと思います。 子どもにはいっぱいの喜びがあるんですけれど、それが長く生きているうちに、親からなのか先生からなのか、社会からなのかわかりませんが、本来もっていた自由な感性が薄れ奪われていく。もともと素晴らしい人だったのに、大人になったら寂しい人になってしまう。楽しく生きるために仕事をしているはずなのにそうではない。人間らしい生き方というものを考える暇もない。自分の家や街に誇りをもつことも薄れていく…。 そうならないようにするには、子どもの頃に戻って考えたらいいだけです。僕らの仕事はクライアントや関係者に、自由な発想をしていただく場を提供することなんですね。楽しく個々の表現ができるような環境で、自由に感じ考えてもらって、創作を一緒に楽しんでもらえるようにすることが重要なんです。いろいろな視点を提供することもポイントです。多様な角度や価値観を提示し、欠点も長所にもってくる。いろいろな視点を知ってもらうともっと心が自由になるし、自由に話をしていけるようになります。 そして、人生の楽しさを創造することの気持ちよさを知ってもらう。「できそうにない」から「何とかなりそう」と思わせたら成功です。おしゃべりを楽しみながら、時にはお互いの美意識を戦わせ、時には譲り合いながら、美しい物を創作していくような雰囲気をつくり、その人の個性的な表現を目指し、自由な生き方ができるように表現・提案させていただきます。そういうことがお互い楽しくできたら、その空間や建物は絶対に美しくなると信じています。高台に建つ自宅から神戸の街を一望する円錐形の建造物を配することで優しいデザインになる趣味の絵画では、よく愛犬をモデルにする音楽や絵画など芸術は創造力を養うのに欠かせない31

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