KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2016年7月号
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医を、被災地の必要性に応じて派遣することができました。今回の熊本の地震でも川島前会長ら第一陣が翌々日に現地入りし、必要な期間に必要なチームを迅速に送り込み、5月29日まで継続して支援しました。このときは主にコーディネーターとして活動しましたが、石巻での経験が生きたと思います。─今後、東南海地震や南海地震への警戒も必要ですが、それに対する備えはいかがですか。空地 県内が被災した場合はもちろん、関西広域連合の協定により兵庫県は徳島県が被災した場合もすみやかに救援に行くことが決まっており、駆けつける準備はできています。それ以外の地域についても日本医師会や被災地の医師会と連絡を取りながら出動できる態勢もできています。JMATへの医師の登録だけでなく、研修などもおこなっています。ひとつ心配なのは山崎断層地震です。9世紀の日本は今と同じく、東北で大震災があり、その後東海・東南海・南海で地震があり、その後に山崎断層で大地震が起きているんですね。山崎断層での地震はかなり大きな地震のおそれがあり、我々が被災者になってしまいます。被災した際にどう行動するか、どう情報を集めるか、看護師会や薬剤師会などとどう連携するかなど、行動マニュアルを定め、訓練をおこなう必要があると思います。それを県レベルだけでなく、地域レベルでもやっておかないと、いざという時に間に合いません。倫理あってこその先端医療─消費税増税が先延ばしになりましたが、どのような影響があると思いますか。空地 消費税はもともと医療費に対して非課税なので、税率が上がっても患者さんの自己負担とはあまり関係がありません。しかし、医療費は非課税ですが、医療機関が購入する医薬品や医療資材・機器は課税対象なので、消費税分はすべて医療機関の持ち出しになっているのです。厚労省はその分を診療報酬に上乗せしていると主張していますが、検証してみると医療機関が数%負担しているのが実情です。もしもこの状況のままで税率が上がった場合、特に多額の設備投資が必要な病院は持ち出しが増えて倒産する危険性があります。一方で、政府は税率が2%上がった増収分をすべて社会保障に回すという方針ですが、税率変更が先送りになった場合、医療そのものが成り立ちにくくなるでしょう。高齢化や医療の進歩で医療費の増加は避けられませんが、それをあまりに切り詰めてしまうと医療崩壊に繋がりかねません。適正な医療には適正な医療費が必要です。しかも日本の医療費は世界と比較しても決23

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