KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2016年5月号
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治以来の考え方の名残がありましたね。若い人たちはかなり変わってきているようですが、今でもそういった文化的プライドが幾分あるんじゃないかな。日本の6大都市での意識調査では、自分の住む街にいろいろ不満を抱いている人が多いのですが、神戸の人は「ずっと神戸にいたい」と肯定的に答えています。不満を抱かないということは、それ以上発展しないということです。今はもう外来文化が神戸に入った船の時代ではなく、飛行機の時代、いやネットの時代。意識を変えていく必要があるのではないでしょうか。〝ポップと戦争〟美術展開催玉置浩二・美術館ライブも―横尾忠則現代美術館では「横尾忠則展 わたしのポップと戦争」が開催されています。あえて戦後71年で開催する理由は?横尾 昨年は戦後70年で戦争について考え、多くの問題提起がなされました。それに便乗はしたくなかったのです。戦争問題は70年で終わるわけではなく、これからもずっと考え続けなくてはいけないことだからです。―「ポップ」と「戦争」は相反するもののように思えますが…。横尾 小学校3年生で終戦を迎えた私はそれまでの2、3年、戦争の恐怖にさらされる体験をしました。8月15日を境に、昨日までの軍国主義が民主主義にガラッと変わり、進駐軍がやって来て、禁止されていた英語が生活の中に入ってきました。物資が豊富になり、表現が自由になりました。そして始まった消費文明の象徴「ポップアート」が、私の中では戦争の後にくるものです。相反するものを結び付けたのですが、ご覧になる方それぞれの受け止め方次第だと思っています。―5月24日には玉置さんの美術館ライブも予定されています。26・27日は西宮でのコンサートです。今回も多くのファンが楽しみにしていると思います。本日はありがとうございました。発展は不満を抱くことから始まる。居心地良さに甘んじてはいけない―全国のオーケストラホールを回ってこられましたが、西宮の兵庫県立芸術文化センターはいかがでしたか。玉置 どこも素晴らしいホールですが、芸術文化センターは、「最初から最後までマイクを使わずにいけるんじゃないか?」と思わせてくれるホールのひとつです。―神戸のイメージは?玉置 正直、コンサートでお邪魔したときは外へ出かける機会はありませんが、海があって、山があって、街があって、そこに居るだけでいいという感じかな。―昭和50年代、横尾さんは神戸新聞社に在籍されていましたが、当時、そして今の神戸の印象は?横尾 当時の神戸は「横浜と並んで日本の文化の玄関口」という明18

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