KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2016年4月号
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―例えば?福本 4年前のレストランリニューアルもお客様のひと声「時代遅れのホテルの食堂みたいやな」がきっかけでした。30年前には流行の最先端をいっていたパステルカラーの店内が時代の流れに取り残されて、そんなイメージで捉えられていたんですね。そこで、木や石など温かみのある自然素材を使った落ち着いた雰囲気でリニューアルし、竹園一番の売りである但馬牛を使ったお肉料理を中心としたレストランにしようと決定しました。―お肉へのこだわりは並大抵のものではないですね。福本 私たちには五つのこだわりがあります。一つは生産農家、二つ目は血統。但馬牛の中でも優秀な血統の牛を、農家さんが衛生的にストレスなく育てているかまで厳しく見極めます。三つ目は赤身の肉質、四つ目は脂の脂質です。この2点のバランスをみることは必須です。サシが多ければよいわけではなく、たとえサーロインでも、あっさりと食べられる赤身と脂のバランスのよいお肉だけを提供しています。最後は食べ頃のタイミングです。最近は熟成と盛んに言われるようになりましたが、竹園では創業以来70年、個体差も考慮しながら最高の食べ頃のタイミングで提供してきました。―神戸ビーフに限定せず、あえて特選但馬牛としているのは?福本 私どもが提供したいと考えているのは、但馬牛でも神戸ビーフでもなく、「竹園のお肉」です。決してブランド名を冠にして一方的に与えられたお肉を提供しているわけではありません。美味しいお肉に至るまでのプロセスも全て含めて提供しています。例えば、一頭の但馬牛を竹園と他の精肉店で分けたとします。職人の技と熟成で仕上りが全く違ったお肉になります。これが「竹園のお肉」です。この部分には決して譲れない誇りと自信があります。印象に残る“竹園ならでは”の「体験」をお客様に提供したい―社長に就任以来10年、取り組んでこられた新たなチャレンジは?福本 4年前、阪急うめだ本店地下2階「あしや竹園うめだ阪急店」出店。その際、私と弟が中心になり、竹園ブランドの再構築や様々な取り組みを図ってきました。まず最初に創業以来コアとなる、創業者が書いた勘亭流「竹園」の文字部分は残しつつ、精肉店のロゴを変更しました。精肉店の包装紙でご覧いただけると思います。お陰さまで、うめだ阪急店は非常に好調で昨年は年間特別報奨優秀賞をいただきました。阪急・阪神両百貨店の歴史の中でも生鮮日配品部門でいただくのは初めてだそうです。さらに「洋食館たけぞの本店」で一番2012年、阪急百貨店に「あしや竹園うめだ阪急店」を出店。売上は好調で2015年には年間特別報奨優秀賞を受けた13
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