KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2016年2月号
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うお考えですか。上村 まず人口減少を懸念しています。これを食い止めるにはやはり産業の発展が必要です。神戸には大学がたくさんあるにもかかわらず、多くが卒業後に大阪や東京の企業に就職して出て行ってしまいます。地元で若い人たちが起業し、たとえば自営業で生活できるようになる環境を官民が連携して整えることが必要です。神戸には大企業が立地していますが、それらも初めは個人が起業して今に至っているわけですからね。―経済活性化のために果たす空港の役割は。上村 発着回数や運用時間など、神戸空港の規制緩和は地方創生につながるものです。地方創生とは、地域経済を活性化することです。神戸空港はそのための大きな資源ですから、十分に活用することが関西全体の発展にもつながります。神戸にインバウンドを呼べば、大阪、京都、奈良などの周辺の都市へも必ず観光に行きます。関西が一体となって誘致していかなくてはいけません。「神戸のために」でなく、「関西経済のために」という発信の仕方が必要だと思います。―神戸のポテンシャルを活かす空港の活用方法は。上村 神戸ではクルーズ船の発着が増えています。ヨーロッパでは飛行機で来て、空港からすぐ近くの港へ行ってクルーズ船に乗る「フライ&クルーズ」が活発です。横浜でもクルーズ船は発着していますが空港はないですから、日本でそれができるのは神戸だけです。ところが、国際線がなく、強力に推進できないのです。医療産業都市があり、医療と観光をセットにするメディカルツーリズムも推進できるポテンシャルもあります。医療機関で健康診断を受ける人や患者さんはもちろん、研究者も呼んでくることもできます。世界で一番空港に近いスパコン「京」もありますが、その空港が世界に開かれていないという残念な状況です。恵まれた位置にありながらポテンシャルを活かし切れていないのが神【図】神戸空港の運用損益備考:神戸市「神戸空港の管理収支の見通し」より作成28

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