KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2016年2月号
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02110th ANNIVERSARY2016年、創業110周年を迎えたカミネ。トアロード本店を開店する以前、1906年に初代・上根銀助がカミネを創業するきっかけとなったのが、金鉱採掘の失敗であった。その後、神主を経て生業を「金細工の加工」とし始める。やがて、二代目・上根馨が継承し、腕をふるう時代がやってくるが、神戸大空襲により、お客様から預かっていた貴金属や時計を焼失。それらを弁償するためには立ち止まってはいられなかった。多大な時間と労力を費やした。馨はマイナスからの出発でも「顧客の歓びは商売の歓び」という信条を守り続けたのだ。馨の顧客に対する姿勢はやがて大きな信用へとつながり、カミネの礎を築くことになる。後に三代目となる保は、馨の必死な姿を目の当たりにしたことで、家業を継ぐ決心をした。保が代表を務める1995年、阪神・淡路大震災が発生した。この時、保の脳裏に浮かんだのは、戦災に負けなかった二代目・馨の姿であった。保は現・四代目の亨とともにお客様の修理品を確保することを最優先に店へ出かけ、全壊したトアロード店では、被災者に目覚まし時計を無償で提供した。「顧客の歓びは商売の歓び」。戦災と震災、未曽有の災害の中でも先代の信条は生き続けた。利潤の追求と顧客への奉仕は常に隣り合わせだ。決して比例するものではない。だが、まずはお客様の歓ぶ顔を見ることを心得るべきである。 「顧客の歓びは商売の歓び」―創業110年目のカミネに、今も脈々と受け継がれる信条でもある。Vol.02「顧客の歓びは商売の歓び」カミネ創業110周年連載企画2016年、カミネは創業110周年を迎えます。月刊神戸っ子では、カミネ110周年企画としまして、1年間にわたり、カミネの歩みや品質の高い商品に対する考え、店づくりに込めた思いなどを紹介いたします。カミネ創業110周年連載企画とは?Reliability二代目・馨初代・銀助2

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