KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2016年1月号
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 移住しようと思ったきっかけは、子育ての環境を考えたことです。 以前は西宮に住んでいて、昨年の春に淡河に移住をしました。子どもたちとのキャンプ活動や、貧困状態の子どもを支援したりするNPOで働いていたのですが、帰るのが深夜になることがほとんどでした。仕事はやりがいがありましたが、自分の家族のこともあり、この間5年の契約満了のタイミングで退職することにしました。現在はこの移住関連のお仕事や、地域の方から少しずつお仕事をいただき生活しています。淡河は妻の出身地です。僕は東京育ちで、実家はマンションでしたから、田舎暮らしに憧れを持っていたんですよ。 移住を決めてから、淡河の集落を走るゾーンバスの運転手さんに、空き家の情報などを教えてもらいました。今住んでいるのは築100年の民家で、トタン茅葺きの屋根を一目見て、ここだ、と思ったんですよ。いつかトタンを取って茅葺き屋根が見えるようにしたいですね。 田舎はご近所さんとのつきあいが濃くて大変じゃないかと思われるでしょうけど、僕の住んでいるような地区は、家々が点在しているので周囲との濃密な関係というのもないですし、自分から聞きに行けば色々なことを教えてくれる頼もしい方ばかりです。普段は地域の行事や、地域の掃除をするクリーン作戦に参加するなどしています。近くにコンビニなどありませんから無駄遣いをしないのも良いですよ(笑)。家では「名前はまだない大学」というワークショップを毎月開催していまして、友人たちを呼んで木工の会や、妻が中心となってミシンで子ども服を作る会などいろいろなことをやっています。 今後は、雇用の確保のためにこの地域で仕事を生んでいけたらと思っています。雇用があれば移住する方も増えるでしょうし、地域で働く大人を「カッコイイ」と思えれば、子どもたちもここに住み続けたいと考えるでしょう。都市部では、家族で広い家に住もうと思えば高い家賃のマンションなどに住まざるをえないので、金銭的にも簡単に職を変えたり何かに挑戦するのはなかなか難しいと思います。けれども農村の暮らしは工夫して住めばそんなにお金もかかりませんから、これからも子育てを楽しみつつ、親である自分も色々なことに挑戦していきたいと思っています。客間には立派な神棚が備え付けられている築100年以上のトタン茅葺きの家屋地域の方々との交流の場にもなっている自宅前の畑で友人と野菜作りに励む広い間取りを生かしてミシン教室などを開催41

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