KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2016年1月号
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 年半ほど前に東京から神戸へ移住してきた建築家の今津修平さん。きっかけは、同郷で同世代の友人の何気ない一言だったとか。「子どもが小学校に上がる前でした。関西に帰るの?どうするの?と。それで、帰宅して真っ先に妻に相談したんです」と今津さん。 東京か?関西か?大阪で生まれ芦屋で育ち、神戸の大学に通学していたが、名古屋や東京の建築事務所に勤務し、日本全国のプロジェクトに携わってきた。しかし、独立して約10年経ち、名古屋や高知に顧客がいたこともあり、仕事は関西でも支障がないと判断した。むしろ地域に定着するのは家族だと考え、妻の絵美さんの意見を重要視。絵美さんはもともと西宮海の眺望もこの家を選んだ決め手になった趣味のギターはインテリアのひとつに休日は、家族団欒のひと時を楽しむテラスで様々な植物を育てる六甲の山手に佇む集合住宅床やテーブルにいたる木材も今津さんが選んだ出身ということもあり、「親も親戚もこっちなので、阪神間ならどこでも」とUターンを決めたそうだ。 現在は灘区、海を望む六甲山麓の住宅街に居を構えている。住まいは多くの候補物件から2つに絞り内覧。今津さんは眺望が開けていた御影の物件を気に入ったそうだが、絵美さんが「広くて、緑が多いので」と今の六甲の家に。 中古マンションを購入し住んでいるが、もちろん今津さんの設計デザインでリノベーション。「内覧の日に間取り図をもとにプランを考えました。4LDKでしたが広く取るために引き算して」と、壁紙を剥がしコンクリートの表情を生かしたり、和室だった部分をLDと一体化したりとシンプルで開放的な空間に。「新しいものと既存の構造物のミスマッチが生む違和感がありますが、それがリノベーションの面白さで新築にはない魅力。新築より予算も少なく返済が早く終わるという点からもアリではないでしょうか」。 神戸暮らしは「食べ物、特に野菜が美味しい。静かで空気もきれいです。冬が少し寒いのと夏に虫が多いのが難点ですが、慣れました」と絵美さん。「街がコンパクトなので便利、そしてすぐ知り合いだらけになりました」という今津さんは、シェアオフィスの〝濃い〟仲間たちとフルーツフラワーパークの道の駅の設計に携わるとか。人の繋がりもまた神戸の魅力。「今後は建築に関する〝何でも屋〟になって、もっと神戸の街の中に入っていきたいですね」。37

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