KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2016年1月号
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す人口統計上の指標)全国平均1・39人を神戸は下回り1・29人、残念ながら子どもの生まれる数が非常に少ないのが現状です。結婚、出産は女性一人ひとりの判断ですが、持続可能な社会であるためには、全体として合計特殊出生率を上げるという目標に向かっていかなくてはいけません。社会動態から見ると、約10年前には周辺都市から神戸に転入してくる数が転出を上回っていましたが、今は逆転していることです。兵庫県内や西日本の都市からの転入はあるのですが、東京への流出が拡大しています。この現実を真正面から見つめなくてはいけないと思っています。―人口減少に歯止めはかけられるのでしょうか。久元 神戸が置かれている客観的条件を考えると、人口減少は避けられないと思っています。しかし最小限に抑える努力は必要です。まずは子どもを生んで育てやすい環境づくりです。1世帯当たりの家族数が減り、多世代同居ではない環境では、若い世代が育児や子育ての情報を得たり、相談ができたりする体制が必要です。そこで昨年10月から、登録いただいた方に毎日メールを送信し、疑問点があればお答えする体制を整えました。また子どもさんが病気になったとき、急患に対応していただく病院を増やしていけるように、医師会とも相談しながら進めているところです。―一人でも多くの人に移り住んでもらうためには。久元 神戸に移り住んで神戸で働く環境、神戸で学び卒業後も住み続ける環境をどうつくっていくのかが課題です。個別の対策も重要ですが、結婚、出産、乳幼児の育児、小・中学校、高校・大学進学という一連の成長過程に応じた行政の支援をトータルで講じていくことが有効な手段だと考えています。―教育水準を高めることも必要ですね。久元 神戸市が担っている小中学校教育のレベルアップは、市民に対しての義務であると同時に、神戸に住み子どもに教育を受けさせたいと思っていただくためにも必要なことです。市内小学校の学力テストの結果を都道府県レベルの順位に当て嵌めてみると決して満足できる状況ではありません。教育の成果は学力テストだけで測れるものではありませんが、これも一つの指標です。―学校の現状に問題があるのでしょうか。久元 教員が多忙を極めています。なぜかというと、さまざまな事務仕事、例えば報告作業やメールのやり取りなどに追われているからです。そこで、ITを活用し、事務作業を簡略化する、事務連絡を減らす、資料の配布依頼を極力減らすなど地道に改善を進めています。都心の賑わいと食都神戸構想―昨年初夏と秋、東遊園地でアーバンピクニックが開催され好評だったようですね。21

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