KOBECCO(月刊 神戸っ子) 1961年9月号
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三木旅の日取りさえゆっくりとっておけば、解放されてかえって疲れがやすまるということは考えられませんか。服部それは考えられますね。ただ疲れた気持の中で初夜を迎えるということは、心理的にはどうかと思いますが、これは男性の方の女性に対するいたわりの問題ということになりますね。佐藤やはり旅行は、式の日になるべく近いうちに行く方が感激も新らたでいいんでしょうね。もっとも両方の仕事の都合で、来春まで旅行は延ばすということもありうるんですけど服部そういう時には、有馬辺りで二、三日ゆっくりするんですねそしてまたのチャンスに改めて旅に出るのもいいでしょう。福富疲れということを考えれば有馬や六甲山などごく身近なところで身体をやすめるのもいいでしょうね。服部そうですよ。僕にいわせると新婚旅行で何も名所旧蹟をあちこち歩きまわることばないと思いますね.むしろ山中の温泉や六甲山などの静かなホテルでくつろぐ方が賢明じやないかな.ぎっしり組んだスケジュールで行くと、乗り物だけで疲れますよ福井たしかに日頃、乗り物にのりつけない者が旅へ出ますと疲れますからね、しんどい目までして旅に行ったは、、それほどの印象も残らないというのなら、近いところでゆっくり昼寝して、六甲山から下界でも見下ろしてるほうがいいでしょうね(笑)服部旅の日数は、帰ってから仕事につくまでに二、三日の余ゆうは欲しいですよ。夕べの夜行で帰って朝出勤では困ります(笑)佐藤とくに女性は、家の中の飾りつけなどがあって何かとあわただしいことになると思いますね。加納一週間の休暇とすれば、まず四泊五日が理想ですね。若い人たちへ助言服部一番大切なことは妙に相手の個性に同化することが〃愛情″だという考え方はいけないと思う古い日本的な愛情の中には〃妻は夫を慕いつつ〃的な考えがありますが、本当に愛情が深いということは、お互いの個性のシルエットがはっきりしているものをにら承合っていることだと思うんです。そしてイデオロギー、世界観が一致している二人でありたいですね福井先きにも申しましたが、子供のことを結婚してから心配するんでは遅いんです。お二人が幸福な家庭を築かれるためにも家族計画を真剣にとり組んでほしいものです。福富長い結婚生活の間にはいろんなことがあるものです。私自身いやなこともあったし、夫婦ゲンカもしました。でも三人の子供を持ち、苦しかった戦争中にも仕事を続けてこれたことは、夫婦の間に理解があったからだと思っています.。お互いに責任を持つことですね。昔の夫婦ば、ご主人の方が強いので暴力を振るうってことがよくありましたが、暴力はいけませんね。ご夫婦にとってば一種のレクリエーションかも知れないけれど(笑)子供たちにとってはいやだと思いますよ。それから産児計画のことですが1213自分の経験からいいますと一人の子でも二人の子でも、育てながら働くことには変りないんですね.一人の子を生んでそれからゆっくりして次の子をIという考え方は、ちょっと考えるといいようですが、本当はエライですよ。若い時にさっさと子供を生んで、若い間にエライ目をして、あと三十すぎからは子供とともに人生をエンジョイされるのも一つの方法じゃないかしら。私は子供は、絶対に早く生んだ方がいいと思うわ。生活がどうなったらなんて思わないでね。五年経ってこれだけの生活力ができたから子供ができても大丈夫だということはめったにないでしょう。欲が出て、もう少し働き、お金がたまってからというので伸びるだけですよ。このために案外、年とってから心配しながら子供を生承、年の割りに小さい子供を育てて苦労してらっしやる方があります。さいきんは勤め先きでも理解があるから子供は早く生承、少しでも子供たちと楽しめる間を長く持つというのが、今の家庭生活の一つのいき方じゃないかしら。この頃は年をとると子供たちと別居しなければなりませんものね。若い人たちは健康で明かるい楽しい家庭を築いていただきたいですね。服部・福井そのとおりですよ。

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