KOBECCO(月刊 神戸っ子) 1961年9月号
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よく冷えたメロンに、銀のナイフを突き立てる。その手もとから、光りの縞が、幾条にも散らばって、彼女の綱膜をやわらかく刺戟するとき、すでに彼女は幻覚の入n口に立っているといってよい.なぜなら、透明なテーブルをはじめ、二人の間にあるもの、すべてがじつに豊かな表情を備えているからだ。そして、すべてが、メエルヒェンの主人公たちのように、いきいきと語りはじめる.たとえば。茶房に入って、まつ先に出される水だ。コップのなかに、幾重にも光りの輪を沈めたその水は、新らしい香りと新らしい味わいをたのしませる序曲であり、心のおののきをひそかにしずめる。うるおいの幕明けだ。時には、この水が心を伝える。コーヒーを飲承ほし、ジュースのストローをやわらかく噛承剛ながら、どうしても愛の告白をしかねるとき、彼はチラリと自分のコップに目を走らせるがカラッポ、「失敬」などと叫びながら彼女の飲承余した水を、わがコップに注ぎにしむら①コーヒーの味を主体にしていますので、音楽には重点をおいていません。強いていえばクラシックです②午前9時l午前0時、ラッシュは昼廻時?、2時、夜5時、く7時③印円“・島〜言謬《くぎノ〜胃・〜且I14』アンケート〉)神戸のティールームヘ(①音楽の種類は…》②開店、閉店時間とラッシュ〈姉時)〉③コーヒーのお値段を…》《④お客さまの層は…岬⑤装飾などお店の特色を…((⑥道順と電話番号…ヘーニ孝一く』ご・7参二害.j星雲一・〜一・一一f一一一二J諺ご〜昌彦昌蝿楽しきかな茶房有井基④中年層が圧倒的です⑤クラシック風⑥市電中山手一丁目停留所山側②1872⑳9677ウヰルキンソン①シャンソン・クラシックと一部ジャズ・タンゴ②開店、A・M、閉店哩P.M③¥わ④あらゆる階層にわたってますが柄の悪いお客は絶対敬遠します⑤黒・白とそのハーフトーンの三色の単色統一(即ち写真の色)で室内はステートサイドを若干クラシック調にしております。その方がお客さまが落着いていただけると思いまして…⑥神戸生田神社と省線高架の中間の東側③2754かえて、グッと一と息。切ないタメ息がもれるのもこの一瞬である。スプーンを小刻承にふるわせるような純情さは失なわれても、恋はさりげなくもろびとを善良にする。コーヒー一杯の飲承方で心理試験もできるだろう。ひんやりとさめ切るまで口をつけない.iヒー、ウェイトレスが置いた途端にグッと一気に干すエキサイト型から純情型まで、およそ二人っきりの小さな世界で見られる心の交歓は、二人だけのシグナルを生承出しやすいムードをつくる。ルーム・ライトの背後からノクターンが流れるとき、静かに語っていた二人が、リズミカルな、軽快な曲、さらにホット・ジャズにいたって、にわかに熱っぽく語りつく光景、やがてかわいいテーブルさえ、じれったいほどで邪魔つけになる。そのと、き、その茶房の一隅は、もはやいっさいの介在を許さず、ミューズの女神さえ、遠くでほお笑んでいるしかなくなっていよう。たのしきかな茶房I。もん①音楽喫茶ではありませんので②午前n時l午後、時③、YEN④中雌層が多いです⑤西洋古美術品を陳列しており、美術茶館と称します⑥生田前③37213喫茶アルファ①主としてクラシヅク②午前9時開店、午後9時閉店ラッシュ時は正午より1一時、夕方は5時前後です③¥卵④ほとんど常連で会社関係⑤特別に装飾はしていません。むしろ渋好承です⑥元町本通り六丁目三越東中間浜側④2025カスカIド①シャンソンが主体、ハワイアン21

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