KOBECCO(月刊 神戸っ子) 1961年9月号
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したこともなければ、尊敬したこともない。妻への尊敬れんさい随想③阪本勝ひとことだけここで書く。スウェーデンという北欧の国は、世界中で社会保障制度ではずばぬけてすぐれている国であることは有名だ。しかし自殺者の多い点でも世界中第一だということも周知のことだ。承なさんもご存知のとおり、わたしは十七才のひとりむすめ〃阪本小弓″をつれて、七月十五日から八月三十日まで、十三ケ国、二十三都市を訪れて先日帰ってきた。印象、感想、思想などは頭のなかにいっぱいだ。だが、そんなことをこりする材料はいくらでもある。しかし、きょうは、すこしまじめな話を書かしてほしい。◇わたしは、いまの妻と三十八年前に結婚した。いわゆる親族結婚で、実姉の亭主(養子さん)のメイにあたる岐阜県の田舎の農家の娘だ。だから夫婦生活は、たんたんとして過ぎ、思想的な争う自殺をするのか。な″と思っていた.だからわたしは今日日本中の雑誌で、わたしがいちばん可愛いいと思いこんでいる雑誌は〃神戸っ子″だ。なぜそんなにほれこんだか、理由はトントわからない.ただ編集長のミス・イガラシの熱誠と努力と、あのザックバランな態度に致せられたとでもいおうか。さて今月号は〃結婚特集号″との仰せだ。これなら、こで詳しく書く紙数もない。いもなく、平凡に今日まですぎてきた。小説などには、夫婦間のあつれきゑたいなものを、いかにも真剣に取り扱っているのを読む度びに〃あほかいタネは富士山の百倍ほどあるし、何でも書けるし、書いても承たい。読者のぷなさんを喜一」ぱせたり、笑わせた老後安楽にして何不自由なく暮し得る国民が、それぼど世にもあわれな平凡な歳月が続いた。ところが、こ}」にひとつの異変が起った。◇まで妻を軽べつ181なぜそ

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