KOBECCO(月刊 神戸っ子) 1961年8月号
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神戸のろどん。ソバ・うなぎの店凸rうなぎという動物はふしぎなニュアンスを持つ。落語の「うなぎや」は、ノダイコがまんまとアンチャンにしてやられ、「素人鰻」では、行先きをうなぎにきいてくれと云わせ、「子はかすがい」では息子にうなぎをくわせその語源では、鵜がなんぎする、うなんぎ、うなぎと縮めてしまう。それというのも、あのにょろにょろで、油っこいのが身上だからである。うなぎの本当のうまさは大串にある。小串はノーメン.くさく、中串は常識的だ。焼き方は江戸前の方がよい近頃、養しょくが多くなったが、やっぱり天然産の味は忘れられない。この辺でも、琵琶湖やもろもろの池沼からとれるが、それでは間に合はないので、浜名湖ものが幅をきかすのであろう。うなぎ・うざん・そば談義固持集囲うまいものシリーズN0.6とにかく、夏痩せによしと云うものの歌以来、彼等の命日は土用の牛の日と相なった。うどんは、黄色味を帯びた内地小麦粉からつくったものが一番風味がある。近頃のようにやたらに漂白した粉でうって、つくったものには本当の味がない。色の白いは何とやら云うのは、女性のことで、決してうどんのことではない。これのよい例は名古屋のきしめんである。あのしきしきした味は、そのうす黄色い肌とともに、食慾を十分にそそってくれる。そこへ行くと、そばはやはり信州と出雲が本場であろう.ただタレが田舎くさいので、うまくたべられないウラミがある。その点、東京も神戸もめぐまれている。うどんもそうだが、そばは特にウチタテがうまい。ノピていないからだ。しかし、出雲の大社でソバを注文したら、それからウチだしたので、到頭一汽車おくれてしまった事など、ほほえましくもなつかしいことであった。(歌人)仲郷38

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