KOBECCO(月刊 神戸っ子) 1961年8月号
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フランスの詩人ゴーテイエは「およそ口というものは女性に口づけをするために他のどこの皮層よりも敏感につくられている。また手もネコのビロードのような背や、なでたりするためにつくられている」と申しました。〃恋愛とは触感のことなり″といふじくも喝破された方もあります。海岸で乾いた砂を手のひらに乗せると、指の間からサラサラとこぼれます.そのときの妙にくすぐったいような、それでいて何ともいえぬ心地よさ。触感の芽ばえです。初夏のセルの層ざわり、真夏のユカタの層ざわりも、素層に着てこそ値打ちがあるのです。下着などはあっても邪魔ものです。近一」ろの若い人たちには素層に直接ワイシャツを着る人がふえましたが、これも〃触感″のダィゴ味を満喫、したいからでしょう。昔若い娘さんが乗りもののなかでヒダのあるスカートをひろげて・へタンと腰をかけている風景を見かけました。もちろん、これはスカートがシワになるのを気にしてのことですが、その半面、モモに直接感じる座席の触感を楽しんでいたのかも知れません。女性が何もはかずに、スカートをからげて皮のクッションに腰をおろす小説がありました。まさに触感のケシ作です。(T)うパパになったね。これからは気分的にもうんと落つくだろうな」(ここで、立教時代の三人トリオの一人杉浦選手が、パパになったんだから、お二人もそれぞれこの辺で…といいかけると、すかさず長嶋選手に「ボチポチ、いいんじゃないかと、それをいいたいんでしょう」と茶化され一同大笑い)長嶋「われわれの生活は、どちらかといえば、堅気でなく、水商売なんだから、サラリーマンの生活のようにやれといわれてもできないし、また、野球選手の寿命というものはタカがしれてるしね。そういう意味で、一時週刊誌などで野球選手の早婚・晩婚説がやかましくとりあげられたことがあったけど、野球選手の結婚は、一つのキイポイントふたいなものでね.とかく新婚の人は、チョット成績が落ちると、とやかくいわれがちでずね。いずれにしても、僕自身は、野球選手は早目に結婚した方がいいと思いますね、というのは、これからの野球選手は三十代くらいでもうそろそろ寿命になってくると思うからね」本屋敷「僕も、君の説に賛成だなやはり早い方がいいよ」長嶋「よく関西と関東の女性ではどちらが…ってきかれるけど、残念ながら僕は、西の方の女性はあまり知らないね。どちらかといえば、これまでは水商売の女性とはよく話す機会lたとえばたまにクラブなどに行って知り合うってことはあるけど、いわゆる素人の娘さんっていうのはあまり知らないね」立教大学時代のずらりと並んだトツプトリオ左から本屋敷(阪急遊撃手)杉浦(南海投手)長嶋(巨人三塁手)浅井(丸善石油外野手)びんくこ一な-1281_ノ、

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