KOBECCO(月刊 神戸っ子) 1961年7月号
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トマダムコンバンヮ○Cオク○Pツプl“’たましひのしづかにうつる菊見かな(蛇鋳)lという句がある。〃オクトップ″のママ坂口修子さんが「好きな花は菊とマーガレット」といったとき、ふとその句を思い出した。単にことばの連想ではない。菊とむかいあうようなたたずまいが、この人にはある。それも大輪のあでやかさでなく、秋の野辺に一輪ずつ寄りそった野菊の清らかさだ。生田筋の朝鮮料理〃金剛山″の路地を西へ入って十米。しっとりと、それでいて小マタの切れ上がった店である。坂口修子さんlあるいはご記憶のムキもあるかも知れない。いまから七年前の五月、マニラで開かれた第二回アジア・オリンピックに出場、高飛びこゑ、板飛びこゑの二種目に銀賞を獲得した人。といえば、均斉のとれた伸びやかな肢体に、ナルホドと合点がいくだろう。奔放自在に水とたわむれながら、なお執着を残しているのか店の名も〃オクトップ″(タコという意味の由)とシャレた。したがって、客筋にはスポーツを愛する人が比較的多い。淡パクなようで、さびしがり屋、ハッタリのきらいな誠実さ:・が人を惹くのだろう。乳白色のやわらかな光線とカウンターのにぶい反射光のまざり合うなかで、いかにもシロウトくさいテイネイな物腰を崩さない.どちらかといえば思い切ってシンプルなデザインと色彩を身にまとった方がピッタリくるが、それもプロポーションの美を裏書きすることになろうか。とがった気持を解きほぐす清涼剤?ともいえる。(A)

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