KOBECCO(月刊 神戸っ子) 1961年6月号
45/60
世界を結ぶただひとつの交通網〃船″が飛行機の発達につれて変化、それによって神戸港の機能はいぜんとくらべてかなり事情が変ってきたが、それだけ港という門戸から吸収した文物は、そのまま日本各地へ流れてしまわず、この街でとまり、そして神戸という土地で醸成されるこれからとなったわけである.、貝。.わたしかに神戸には西洋料理の珍らしい店が多い。しかもここに住むわれわれの味覚は、だんだん変化してきた。たくものの味は、料理の味だけではまだ充分でない。それを食べる店のムードで大きく左右される。西洋料理の一段の向上と大衆化は神戸っ子の切実にのぞむところだといったらいいすぎだろうか。(俳人)世界の料理アンケート神戸はミナト街として発達した開港いらい世界の文物は、この街の港の埠頭からどんどん日本へ流れこんだ。神戸は日本開眼のパイプの役目を果したところであったわけだ。そうした事情からこの街に、西洋料理の店が多く、そしていまも質のいい料理を味わさせてくれるのは、あながち偶然ではない。海外からこの街に足をおろしたエトランゼたちは、おのずから自分の舌にのせたい料理を求める。そこでその舌にあう味覚の研究がはじまる。ふとしためぐりあわせで、美しい山と海にかこまれた神戸を第二の故郷にして住承ついたエトランゼの中には、料理の腕ききもいた。しかも西洋のほとんどの料理のネタとなる牛肉が、日本きっての神戸牛ときていたから、料理がのびる要件は、うまくそろっていたのである。この街の西洋料理はいまちょっと数えてふてもフランス、ロシヤイタリア、ドイツ、スペイン、インドネシヤ、インドと、軽食のマカロニから定食、一品料理、カエルの脚をフライにあげた風変りのものまで、バラエティ豊かな品ぶれを味わえる店がそろっている日本料理のわび、さびといった味わいをこめた淡白さ、そういう伝統は、歴史の浅いこの街には、たとえば京都のように、深くはな神戸の西洋料理赤尾兜子いが、それとは逆に、西洋料理の方は、その輸入の先端にいた関係もあって、むしろ日本での先駆をつけ、そして健全な発達を承せているといえよう。西洋料理の特色のひとつは、その料理のかおりにウエイトをかけ〃鼻で食べる料理″とまでいわれているが、この街の店もそこはなかなか注意深く香料のサフランはじめソースにしてもワインを調合したものや魚、松たけ、ハマグリなどをきざ承込んだもの、生トマト、タマネギ、ピーマン、ニンニクをぐつぐつにこんだソースまであって、これらが料理の味を大きく支配していることはたしかだ。もうひとつ、神戸には純ヨーロッパ風の日本一うまいパンがあることが、よけいに西洋料理を楽しい料理にしている。①あなたのお店のご自慢のお料理とその値段は……。②わかりやすい道順と電話とどうぞ。1411元町グリル①フランス風牛肉煮込承コロッケⅡ牛肉を適当にこまかくきざ承別にホワイト・ソース(たっぷりバターと牛乳を使ったもの)、ルリ葉など調味料を使い、ドロッとするまで煮込承、それを揚げたもの。二百円②元町二、元映前入ル③6451フランス料理エスカルゴ①エスカルゴ(かたつむり)I本場からカンヅメで輸入されたかたつむりを、バター、塩、コショウ、ニンニクなどで味つけし、パセリを加えて天火で焼いたもの。一皿(十五個)五百円ブイャベースーマルセイユ名物の魚スープで伊勢エビ、車エビ、ハマグリ、タイ、コチなどにタマネギなどの野菜を入れ、ブランディで煮つめ、香料のサフランなどで味つけする。五百円から各種②三宮一丁目、星電社裏側ハナワ・グリル①リ・デ・ボウー子牛ののど肉料理で、タマゴ、西洋マツタケ、
元のページ